「悪は存在しない」
自然の描写とか音楽の使い方とか、一個一個のシーンがあまりにも美しすぎるし、「都会からの来訪者に対する田舎民の対立」という構図にも関わらず、タイトルのせいでどちらを「悪」とも捉えることが出来ない構成がうますぎる。
表情を変えず、淡々と接するため冷たいようにも感じられるが、地元民からは厚い信頼を寄せられている巧という人物が都会民にとっては、1番の壁であるようで、入り口でもある。「説得」ではなく「納得」してもらうしかない状況下において避けられない雰囲気を嫌というほど追体験できる。
巧を演じた大美賀均は演技力があるのかどうかは、微妙なところだが、そのキャラクター性は抜群だった。普通のドラマであえいながら、サスペンススリラーさながらの不気味さを感じるのは、彼の存在感と演技の賜物と言って良いと思う。
ラストの解釈は様々だと思うが、他の人の意見も踏まえつつ、もう一度鑑賞しに行きたい。