「π デジタルリマスター」
ダーレン・アロノフスキーのデビュー作。天才数学者の頭の中を覗き込んだような映像をモノクロとパンクな音楽で楽しむアート作品。
A24が制作ではなく、リマスターを担当した作品は記憶の中では「ストップ・メイキング・センス」しか観たことがないと思うが、凄く繊細なリマスターだった。2Kの映像でここまで綺麗に修復できるのかと感心するくらい髪の毛の一本一本が鮮明に見える。
映画自体は聞いていた通りの斬新さ。映画館の大音量でパンクな音楽が堪能できただけでも儲けもんだが、一般的に難解と言われている本作を85分間集中力を保ちながら鑑賞することが出来たことは貴重な体験になったと思う。
アロノフスキーらしく宗教的な話が出てきたり、「レクイエム・フォー・ドリーム」のような気が狂ったような映像体験が出来ることが魅力。内容自体はそこまで難解ではなく、ある程度は理解できたと思う。
意外と「ブラック・スワン」を観たことがなく、それを観ればアロノフスキー監督作品はコンプリート。8本の監督作品中、死ぬまでに観たい映画1001本に5本(「ザ・ホエール」はどうなるかわからない)も掲載されている監督は稀有だと思うので何としても前作制覇したい。