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悪は存在しないのkanpaのネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ラストシーンについて、高橋の言動がバランスを欠いたことで巧=自然が牙を剥いたのだろうと感じた。劇中に感じたのではなく、映画館を立ち去った後にそう感じた。

ただ、巧は花をどうしたかったのかがイマイチ釈然としない。自然=鹿に捧げたかったのか、鹿から救いたかったのか、はたまた自然の恐ろしさを教えたかったのか。

当初、鑑賞中は、人の親であれば、当然に娘を救うための行動を取るはずで、救うためには鹿を刺激してはならなくて、その為には高橋を黙らせなければならないと考えたが、高橋を黙らせるのに気絶までさせる必要はない。しかも運良く生きていただけで、明らかな殺意が描かれていた。

巧の行動の目的は、単純な花の救出ではないことになる。黙らせようとしたことがきっかけで、殺意が表出したのか。分からない。

それとも、あの鹿は巧の見た幻影なのだろうか。だとすると、高橋には鹿が見えていないので、横たわった花だけを見て叫び、近寄ろうとしたということになり、巧は既に意識なく横たわっている花を放置して高橋を締め上げたことになる。それはそれで不可解。

やはり、不可解なことを演出したのだとしか考えられない。どんな理屈で考えても整合しないように作られている。理解できないということを理解する。そういう考えに至った。
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