王冠と崑敏

ダム・マネー ウォール街を狙え!の王冠と崑敏のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

投資とはよい株をよい時期に買い、それがよい企業である限り持ち続けることです。
~ウォーレン・バフェット

若い頃は、橘玲さんとか、荒井拓也さんの著作に影響されて、『投資家』として生きられたらなーなんて真剣に考えていた時期もありましたが…今は全く株式に手を出していません。理由は、元々ヘタレで心配性なのでリスクを抱えていたらソレにばかり気を取られて心が休まらないだろうと云うのと、市場をなんとでも操作出来るような所謂ヘッジファンドのような資金も情報量も潤沢な大企業に個人投資家が勝てるわけが無いと思っているから。

でも、今作の主人公キースはそうじゃなかった。失業中に一生懸命、投資の勉強をして、ゲームストップというビデオゲームなどの小売りをしている企業の株が実際の価値より低い評価をされていることに気が付く。ウォーレン・バフェット氏と異なるのは、キースの周りを取り巻くネットワーク環境。速度、情報量が圧倒的に異なり、株式投資、売買もスマホ📱のアプリで行えるようになり、SNS が一般化して、個人投資家が文字通り『個人』ではなくなりネットワーク上で集団を形成できるようになった事。
『仕手株』と言って、意図的に株の価格を操作して儲ける事を狙った集団が昔から居りますが、今作のモデルとなったゲームストップ株事件も、SNSで、ゲームストップ株を急騰させて、売り手のヘッジファンドをやっつけようぜ!と盛り上がって買い群がったわけですから、仕手株であることには変わりありません。ちょっと違うのが、YouTuberとしてそれを先導していたキースは、その株を気に入って購入していたこと。スタイル的には、仕手株とバリュー投資のいいとこ取りと言ったニュースタイルと言えるでしょう。

今作で、格差社会の雛形(笑)であるアメリカらしいのは、富裕層と貧困層の描き方がハッキリしている所。登場人物の次に純資産まで記載されるとその差がわかりやすい。
ゲームストップ株騒動で大きな利益を得た者、全てを失った者、結局はタイミングを逃して損失が大きくなった者、利益はそこそこだったけれど、『自由』を獲得出来た者…十人十色。大切なのは運とタイミングと決断力か。

終わりに…Based on a true story…事実に基づく物語という事で、エンドロールで本人が登場します。つい数年前の事が映画になり、ご本人登場なんて日本だとまだ考えられない作品ですね。良くも悪くもハリウッド映画って凄いなと感心しました。そして、キースの行動に刺激を受けました。

終わりの終わりに…そのキースの父親役の役者さん=クランシー・ブラウンさんですが、お年を召されましたね。なんだか穏やかなお爺ちゃんになってました。クランシー・ブラウンって誰?って方、『ショーシャンクの空に』で、すっげー怖い看守さん居たでしょ。あの人ですよ。
王冠と崑敏

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