KnightsofOdessa

The Unknown Country(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

The Unknown Country(原題)(2022年製作の映画)
2.5
[祖母の幻影を求めるマリック風な旅] 50点

モリサ・マルツ長編一作目。ある夜、タナは自分を育ててくれた祖母を亡くした痛みを抱えながら、雪に包まれたミネアポリスを後にする。苛立ちながら車に付いてた車椅子乗客ありの掲示を外すシーンは、無言で喪失を伝える良いシーンだ。夜な夜な運転して朝方に辿り着いたダイナーのシーンで、映画は唐突に本筋から脱線し、ダイナーの店員が自分の物語を語り始める。と思ったら3分くらいで退場。え?何が起こった?と悟ることすら出来ずに旅は続く。タナが旅の道中で出会った人を色々並べて、ドキュメンタリーとフィクションの境界を曖昧にしつつ、中西部の雰囲気を映画に落とし込もうとしているのかと思ったが、他にはモーテルの店主と陽気なコンビニ店員が登場したくらいで、本当にただの寄り道レベル。すると彼女の旅は従姉妹レイニーの家に到着したことで一旦終わりを迎える。彼女は夫デヴィンと駆け落ち同然で居住地を出てきており、娘がいるものの正式に結婚式を行っていなかったのだ。二人に導かれてタナはレイニーの祖父で亡くなった祖母の弟オーガストに会うことになる。レイニーの過去や祖母が居住地を出て旅をして回っていた話などは、どこかケント・マッケンジー『異郷生活者たち』っぽいテーマではあるのだが、特にこれといった反応すら見せないまま、映画はタナを再び旅に送り出す。リリー・グラッドストーンの繊細な存在感は素晴らしいのだが、合間に挿入される風景とか煩すぎるフレアとか全体的にテレンス・マリック風を意識しすぎてて胃もたれする。どの要素も良いのだが、それを詰め合わせただけなので展開も場当たり的すぎて散漫な印象は最後まで拭えず。というか、あのラストはあの表現でいいのか?陳腐すぎないか?
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa