(後半は本作と関係ない、ヴェネチア旅行記です)
ケネス・ブラナー主演によるポアロ警視シリーズ三作目。前作もアガサ・クリスティーの原作も未読。
舞台は20世紀初頭のイタリア・ヴェネチア。
とあるヴェネチアのお屋敷で、死んだ娘の霊を呼び出したい……と、降霊術を行ったら、その夜、密室と化した屋敷で殺人が起こる……という内容。
霊媒師を演じるのは、「エブエブ」でアカデミー主演女優賞を受賞したミシェル・ヨー。
降霊術のインチキがバレそうになると
「うわー!」
と叫んで椅子をグルグル回転させてジタバタしてごまかすミシェル・ヨー最高。お前、子供かよ。
翻って、ケネス・ブラナー演じるのポアロ警視は、やたらみんなの前で、登場人物たちの知られたくない秘密を暴露するのが大好き、という面倒な性格の持ち主。
冒頭で
「私に友人はいないのだよ、ふふっ」
と言ってたが、お前のその空気読めない性格なら、友達いなくて当たり前。
全体的に暴力とホラー描写多め。特に登場人物の一人の医者。医者というより年末のRIZINに出てるほうが似合いそうな武闘派。お前、職業選択ミスってるぞ。
そんな登場人物たちのおりなすミステリー。
密室トリックは穴がありすぎて横溝正史の「本陣殺人事件」100回読め、と思ったが、フォローしている「月うさぎ」さんによると「トリックも犯人も、ぜんぜん原作と関係ない」オリジナルとのこと。だったら、これ、原作ある意味あるのか……?
とはいえ、ラストでヴェネチアの全景が映る空撮はグッと来た。
なぜなら、俺、9月にヴェネチア行ったばかりなので。
以下はとてもヒマな人に向けた、役に立たないヴェネチア旅行記です。
■ヴェネチアいったキッカケ
9月にクロアチアを車で旅行してて、まる一日、どこか余分に観光できる日にちがあるのに気付き、地図を見てて
「クロアチアからスロベニアを経由したら、もうそこはイタリアじゃん」
ということに気付き、行き当たりばったりでヴェネチア行きを決行。
クロアチアの首都ザグレブから車で3時間で隣国スロベニアの首都・リュブリャーナ。そこからさらに高速道路で約3時間走って、国境を超えてイタリアに入ったら、一時間くらいでヴェネチアに到着。その時点で深夜だったので、適当に安ホテルに泊まって明日のヴェネチアに備える。
ちなみに、ヴェネチア島内は宿泊が1泊4-5万円とクソ高かったので、車であるメリットを最大限に活かして、ヴェネチアから30分くらいの村に宿泊。それでも一泊1万円くらいした。
翌朝、ヴェネチアに向けて出発。
ご存知の方も多いと思うが、ヴェネチアはラグーナと呼ばれる湿地帯に杭を打ち込んで無理やり街を作ったという海上都市。それぞれの区画は大小の運河で区切られており、無数のアーチ橋でつながっている。
アーチ橋が多すぎることもあり、車は基本的に入れないのだが、ヴェネチアの外れにあるトロンチェット港の駐車場は空いてて車が停めやすいということで、そこの立体駐車場に駐車。そこから、ヴェネチア観光の拠点となるサンタルチア駅まではケーブルカーで1駅。
■ヴェネチアと映画
サンタルチア駅に到着。近くのジェラート屋で一服して、徒歩で観光することに。
余談だが、マンガ「ジョジョの奇妙な冒険」では、第二部と第五部でヴェネチアが出てくる。このサンタルチア駅と、さきほどヴェネチアに来るときに通ったリベルタ大橋も、第五部におけるギアッチョ戦の舞台となってたので、すでに聖地巡礼気分。
ヴェネチアは、有名な観光地である割に、映画に登場することが比較的少ない。
橋だらけで車が入れず、大掛かりな撮影機材を運搬できないからだ。
なので、あまり映画に登場する機会はなかった。
有名なとこだと「インディ・ジョーンズ3」とかジョニーデップの「ツーリスト」、ダニエル・クレイグの「カジノ・ロワイヤル」なんかでヴェネチアの登場シーンはあるものの、例えば、後者のダニクレ007とマッツの対決シーンなんかは、全部イギリスでセット撮影してるとのこと。
後述する「ミッション・インポッシブル」の撮影チームは
「撮影機材がコンパクトになったことが、ヴェネチアでの撮影を実現させた」
とコメントしてるので、ようやく最近になってロケにも使えるようになってきた、ということらしい。
■ヴェネチア観光
ヴェネチア本島は5平方キロメートル。マニアックな例えで恐縮だが、ウチの実家・福岡県中間市の三分の一の面積しかない。
ここに年間2000万人の観光客が殺到する。
ちなみに中間市の年間観光客数は12万人(2017年調べ)。
200倍くらい違うばい(←筑豊弁ならではのダジャレ)。
一応、我が中間市にも世界遺産「遠賀川水源地ポンプ室」や、モアイ像やスフィンクスなどのミニチュアが野ざらしで置いてある「屋根のない博物館」といった観光名所が存在するというのに、200倍もの差があるなんて……。
それはともかく、ヴェネチア、上記のとおり小さい街なので、午前中に観光をスタートすれば、有名な「運河でのゴンドラ乗り」含め一日でお釣りがくる感じ。
観光名所としては「リアルト橋」と「ドゥカーレ宮殿」が印象に残ったので、簡単に触れておく。
■リアルト橋
「リアルト橋」は、16世紀に建造された真っ白い大きな橋。「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」で、水のお化け(エレメンタル)と戦った場所と書いたら、分かってくれる人もいると思う。
ヴェネチア内で一番大きい橋ということで、常に大量の観光客が行き交う。俺も無意味に三往復くらいしました。
橋のふもとは水没しかかっていて、あと10年もすると、橋を渡るのには水につからなきゃいけない……みたいになりそうでドキドキした。
疲れたので橋の近くにあったジェラート屋で一休み。
■ドュカーレ宮殿
リアルト橋から徒歩20分くらい、一番観光客が多い「サン・マルコ広場」に到着。
再びジョジョネタで恐縮だが、この「サン・マルコ広場」は、第二部でリサリサが「エイジアの赤石」を盗まれそうになる場所でもある。
この広場、ハトが大量に住み着いていて、子供のお菓子とか襲撃してくるので、ちょっとだけ映画「鳥」気分を味わえるのも嬉しい(嬉しくない)。
「ドュカーレ宮殿」は、「サン・マルコ広場」の前にある旧総督邸。7世紀末から使われていた建物とのこと。
「ドュカーレ宮殿」は、「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」で、トム・クルーズが、ロウソクの中をテテテーっ!と走り抜けるシーンのロケ地。
映画では館内でガンガンにパーティーやってましたが、とくにそんなアトラクションもなく、トム・クルーズが走ってくることもない。
とりあえず脳内で「ミッション・インポッシブルのテーマ」を鳴らしながら、トム・クルーズ気分でウロウロと探索。色々と豪華絢爛な内装とかデカい油絵(世界最大らしい)とかあって、大満足しました。
この隣に「サン・マルコ大聖堂」ってのもあったけど、行列が長くて(並ぶので有名らしい)断念。
ジェラート屋で時間を潰して、観光客としてはハズせない、「ゴンドラ運河くだり」へ。
■ゴンドラ運河くだり
「ゴンドラ運河くだり」以前はボッタクリが横行していたらしいが、現在は30分80ユーロ(一万二千円)の明朗会計で安心価格……って、高っ。
福岡県の柳川の川下りだったら、一時間で大人1700円なんですけど!?
しばし逡巡するも、「せっかく来たんだし……」と自分を納得させて、リアルト橋から飛び降りる気持ちで80ユーロを払い乗船。
船によっては歌ったりアコーディオン弾いてくれたりしてたが、俺の船はあくまで寡黙に漕いでくれるだけだった。
ちなみに乗ってるの、三分の二くらいアジア系。特に(会話聴いてると)中国人が多い。ちょうど先月
「ゴンドラ転覆、中国人観光客が立ち上がって自撮り」
というニュースがあった。船頭さんの忠告を無視して立ち上がったら、案の定転覆した……ということだそうだが、ホント、同じアジア人として情けない……。
というわけで、「ゴンドラ運河くだり」を密かに満喫して、最後にジェラート屋で休憩……って、ジェラート屋おおすぎ!
調べたら、さすが「イタリアン・ジェラート」の本場だけあって、イタリアにジェラート屋は4万店あるらしく、人口比を調整すると、日本のコンビニの1.6倍のジェラート屋が存在するらしい。
帰国して自分のカメラをチェックしたら、ヴェネチアの半分くらいがジェラート屋の写真でした。
(おしまい)