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哀れなるものたちのyaekoのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.6

ヨルゴス・ランティモスは『女王陛下のお気に入り』は観たことがある(これもエマ・ストーンだったね!)けど、その他のは気になりつつ観れないままでいた。
『ロブスター』なんてその筆頭だったけど、なんかもうどこから来たのその着眼点と発想力、っていう力が抜けてしまいそうな途方もなさと、その得体の知れない彼の想像の産物を映像化して見せられる(こちらが観なければいいのだけど)ということに、自分が受け入れられるのか不安のようなものがあって、言っちゃえばそれは未知との遭遇への怖れだったのかも。わたしの中からは決して産まれないそれを産み出す力の前に圧倒されていたのかも。

なので、この話題作も気になりつつ映画館には行けずにいたけど、配信に来たと知ったらテンション上がったし、自然に指はタップしてた。
そして結果、とても惹きつけられたし面白かった!やっぱりっていうか、動揺したしえぇぇ、、ってなったシーンもあったけど、それも超えて観て良かったよ!!!

最初、幼子そのもののように純粋で、善悪も社会性もないベラの存在が、心許なさ過ぎてどうなるのかなんてとても想像できなかったけど、なんともまあ、、、すごいところに着地したな、、、!あの最後の微笑み!

冒険心と経験は彼女にいろいろな理性や感情を育み、知性は高度な次元のソレにまで到達して、わたしは当初思ってたのとは別の意味で力が抜けたよ。

多分、皮肉とかメッセージとか、そのようなものも過分に盛り込まれていたとは思うけど、わたしはそれよりベラというひとりの人物そのものの成長の過程が単純にとても興味深くて、おもしろくて、ものすごいエンタメを観たな、、、、っていう満足感があった。
一度観ただけじゃ、きっと理解が及ばないけど、でも今はこの言語化できない気持ちの充足感に浸っていたい気もする。簡単にこの正体を解析してしまうのは惜しい。心地良いモヤモヤの中にいたい。

エマ・ストーン、チャーミングで可愛い女優さんだと思ってたのが、『クルエラ』でバリバリカリスマ性発揮しててうわあ進化してる!って感じたばっかりだったのに、そこから更に加速していつのまに人間味があるのに人間味のない、こんな孤高の地にまで来たの?一言ですごすぎたよ、、、アカデミー賞も獲ったけど、もう彼女=ベラくらいに強烈なイメージ付きました。

そしてマッドサイエンティストだけど一貫して父性溢れるウィレム・デフォー、良かった。
マーク・ラファロは相変わらずクズかった。

監督の作風なのか、場面を知らせる時の背景の世界観や、カメラから覗いているような丸い視界になるのがとても好きだったし、やっぱり他作もチャレンジしてみようかなって思った。
ベラみたいに冒険してみよう。どうなるかな?
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