王冠と崑敏

哀れなるものたちの王冠と崑敏のネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

“男は所詮、精液が精管に溜まると放出したくなる生物なのです”~上野正彦・法医学者

人間が死ぬと硬直が始まりますよね。その死後硬直って、何時間後に一旦硬直して、また何時間後に再び弛むんでしたっけ?『死体は語る』の上野正彦先生の著作を何度か読んだ筈なんですけどね。詳細忘れちゃいました。冒頭で、ベラが、死体のポコ〇ンをビョンビョンって弾く(硬直はしていない)シーンでスゲーの始まったぞと改めてシートにしっかり座り直しました。

R18+指定という事もあり、エマ・ストーンは全編、俗に言う体当たり演技です。でも、エロくはないし、不快でもない。(SEXしか頭にない男共は不快ですが…まあ、あんなもんか)不思議です。その辺のシーンより、ベラの心身の成長の描写が素晴らしく良いです。

念の為、町山智宏さんと藤谷文子さんのYouTubeの解説動画を観ましたが、あのウィレム・デフォー(ずっとウイリアムだと思ってました💦)の顔面と天才科学者という役柄から、想起されるフランケンシュタインの物語。ウィレム・デフォー演じるゴッドウィン博士のそのゴッドウィンは、フランケンシュタインの原作者メアリー・シェリーの旧姓で、つまり父親のウイリアム・ゴッドウィン(無政府主義の先駆者)で、映画内のゴッドウィンのモデル。エマ・ストーンが演じたベラがやったことは、フェミズムの先駆者のメアリー・シェリーの母親メアリー・ウルストンクラフトがやったことで、事実に基づくストーリーになっているのだそうです。

それと、1番大きなテーマだと思うのですが、小説のフランケンシュタイン博士は『モンスター』に愛を持って接する事が出来なかった事で悲劇に繋がりましたが、ゴッドウィンは『実験体』と呼びながらも、愛を持ってベラを育てたので、彼女は、愛を知る『人間』に成れたのだなー、全然、Poorではなかったのだなーと。もし、河に身を投げてゴッドウィンに改造されなければ、ギニュー隊長…じゃなくて元夫と共に傲慢な人生を送っていたのでしょう。最も大切なのは…環境だと思います。そして、本当の愛❤とは、マックス君のように、相手の事を全て許容して受け入れて待つこと…かもしれません。

人の行動を決める3つの要因は…
拳銃に例えるなら、
①遺伝子が弾
②心理が照準
③環境が引き金
~ジェイソン・ギデオン/クリミナル・マインド
王冠と崑敏

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