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哀れなるものたちのmmmのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます


内容にふれているので
ネタバレ設定にしておきます。

原作未読
先行上映にて鑑賞

ある日身投げした女性は、
ゴッドと呼ばれる研究者に
(人体実験のため)助けられ、
自身が身ごもっていた胎児の脳を
移植されてしまう。

女性はベラと名付けられ
身の上を知ることのないまま
検体としては大切に扱われたが、
屋敷内に幽閉され自由はない状態。

ある日、たった一度外出先で見かけた
外の世界に興味を示した彼女は
意思をもって外の世界をみたいと
ゴッドに懇願し、
世界を旅することになる。

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話題になっているとおり、
ディズニーが関わりながら
R18の作品というのは珍しいかも。

フランケンシュタイン×不思議の国のアリス?
意図せぬ蘇りを果たしたベラという
女性の冒険譚

性別関係なく自由意志の話など
とも取れるけど、個人的には
やはりベラという人が女性で
あることが大切だったと思っています。

検体として、女性として、
ベラを自身の所有物に
したがるゴッドやダンカン。
悪意はないにせよ、無自覚に
彼女の自由を奪っている。

一方、成長とともに好奇心旺盛になり、
手の届く範囲から、とにかく
体験することで世界が広げ
喜びを感じていくベラ。
ピュアな心で、時に間違ったり
傷つきながらそれも糧にして、
自分で選び進んでいく姿は
観ていて清々しかった。
エマ・ストーンの力強い瞳も
印象的でした。

旅先で出会う人々、そこで聞いた話
実際に自分の目で見たもの(こと)
身をもって知ること
そこから生まれる感情
自分で考え、選んでいくこと。

今だからこそ、当たり前に
感じるかもしれないけれど、
長らくそうはいかなったし、
今もそのような状況は
世界のどこかにあるわけで…
きっと、違う形で抑圧されて
いることもあるのだろう。

ゴッドもダンカンも、
優しい一面もあるけど
ただ無自覚に自分勝手という
描き方が面白かった。
彼らは彼らで弱さや
コンプレックス、心の傷も
あるのだろうし、
ちょっと不憫に感じてしまう
ところがあったのも良かったかも。

マーク・ラファロ(ダンカン)が、
どうしてもこの役は自分が
演じたかったというだけあって、
ぴったりだった。
ゲスおじさんを生き生きと演じてたし。

マックスはそういう部分が
(比較的)クリアになった存在
なのかな。
マックスとベラのバランスもよき。

自慰を自分で自分を幸せにする方法
って表現するとか、女性が快楽に
忠実に喜びを得ること
(妙に軽快でファンタスティックな
音楽がつけられていて笑ってしまった)
娼婦という仕事を真正面から
捉えているのも、こんな風に
表現した映画は観たことがなかったから
新鮮だった。

最後のベラの表情が、どういう
気持ちなの???ってなってるけど、
SF感やらダークファンタジーやら
色んな要素が混ざりながら、
説教臭くならず
ポップに楽しめる作品でした。

凄く長くなりそうだから
無理やりここまで!



◆おまけの話

ゴッドは、検体としてベラを救ったけど、
私が同じ状況なら救ってくれるだろうかと
ぼんやり考えてしまった。(←そこか!)
mmm

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