バンドの演奏シーンで鳴る個性的なトーンのオルガンはフィンランド製の “WILM(ウルム)”。
メジャーなハモンドじゃない所が流石!ってヘンな感心をする。
ジャズなピアノに導かれて登場するスウェーデン製ボルボの青いゴミ収集車に乗る青いつなぎのペロンパーが、恋するオウティネンへ赤い花を贈るロマンス🌹.
1986年公開, 経済的にどん底だった頃のフィンランド映画.
冴えないデート、会話の無い車内、噛み合わない会話のレストラン、宿の隣り合う部屋で別々に過ごす夜。
リストラの腹いせに盗んだ金庫の顛末、ボタンを掛け違えた2人はすれ違うばかり。
ヘルシンキの街を走る路面電車 “トラム”の風情がいい🚞。
首都で都会なのにその可愛らしい風体のせいか縫うように街中を走る姿は何処かのんびりした空気を醸し出す。
思いの丈を伝えるウィスキーの空き瓶、吸い殻と積まれたレコードの山。
船で旅立ついつものラスト。
待っているのは辛く悲しい現実と分かっている、、それでもいつかはきっと、きっと 。
ジャームッシュをして「美しい恋愛映画」と言わしめた, 寡黙で不器用な愛の物語。