継

暗黒街の対決の継のレビュー・感想・評価

暗黒街の対決(1960年製作の映画)
3.5
2つの組織が覇を競う街によそ者がふらりと現れるイントロダクションは大藪春彦の原作のままらしいけど,
現れるのが同じ三船敏郎で, 味方を匿(かくま)う隠れ家へ食糧を運ぼうとして敵にバレるのも翌年公開の黒澤明『用心棒 ('61)』と同じ。
三船が本作で羽織るトレンチコートをポンチョに替えればイーストウッドになりそうだし, 復讐を胸に秘めた鶴田浩二との射撃場シーンなんかはリー・ヴァン・クリーフとのそれを思わせる…
レオーネがこれも観てたかはどうでもいいけど, 本作と用心棒の制作経緯は気になる所です。

パケ写↑はモノクロだけど, カラーの現代劇。
岡本喜八は, 着流し姿の昔ながらの任侠やくざと三つ揃いの背広でキメる新興暴力団の対決の構図に, 原作のハードボイルド風味と西部劇なロケーション, 時代劇の義理と人情や良いトコ取りのマカロニ・ウエスタンの精神, 果てはギャング映画のパロディまで盛り込んで遊び心タップリ。

湿っぽくし過ぎず適度にドライで, ギャング団に “♪消しちゃえ,消しちゃえ…♪” ってヘンテコな歌を歌わすシュールな要素も含め, ジャンル問わず撮りたい画を撮って愉しく繋げたような印象。
善玉に描かれる小塚組と当時のスター・鶴田浩二は浪花節的な旧来の任侠精神を背負い, 悪玉の大岡組とコレに雇われる殺し屋ギャング団はアメリカナイズされていてビジネスライクと, はっきり色分けされてるのも面白い。

二派↑の間を立ち回る三船敏郎は汚職がバレて左遷されてやって来た不良警官(表向き)。『用心棒』の三十郎とは似て非なる魅力で兎に角カッコ良くて, 何ならコノ人観るだけでも価値があるかも。

映画としては, 三船・鶴田というスターへの配慮みたいなものが若干感じられてしまって, 同監督の『殺人狂時代(仲代達矢主演)』の様なぶっ飛んだ感じが少ないのは個人的には残念なんですが、そこは岡本喜八!その分良くまとまっていて見どころの多い作品に仕上げています(^^)。
継