KnightsofOdessa

ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

1.0
[マイウェンによる"もしも私が18世紀にデュ・バリー夫人として生まれていたら"] 10点

2023年カンヌ映画祭オープニング上映作品。明らかにコンペに入ってただろう作品と思われるが、ラインナップ発表の少し前にマイウェンが記者に暴行を加えた問題を認めて炎上したためか、結局オープニング上映止まりとなった。コンペに選出されたRamata-Toulaye Sy『Banel & Adama』がラインナップ発表前日に"ある視点"からコンペに昇格したらしく、本作品の交代要員として入れられたのではないかと推測している。暴行問題と上映は別みたいな態度取ってたティエリー・フレモーもあっさり掌を返し、そのクソダサっぷりを世界にアピールしたわけだが、今回はその他にもスコセッシにすりよってエリセを無下にしたり、警察官に上級国民アピールしてイキり散らしたり、その残念っぷりが遺憾なく発揮された年でもあった。閑話休題、本作品はルイ15世の公妾としてヴェルサイユに君臨したデュ・バリー夫人、もといジャンヌ・デュ・バリーの生涯を描いている。貧しい生まれのジャンヌは、養父に恵まれて学を得ると、様々な貴族家を渡り歩いて出世していき、あれよあれよという間にルイ15世に見つかって公妾となる。そんな彼女は慣習を無視した自分らしい生き方をしていて、それを象徴するように多く登場するのが"国王に背を向けてはいけない"という慣習である。王太子以外の人間は娘ですら背を向けないよう、国王を見ながら後ろ向きにバタバタと小さく歩んで部屋を出ていくのだが、ジャンヌはそれをしない。それを見た国王も"慣習を破るおもしれー女"としてジャンヌを重用するので、娘たちはハンカチを噛んで悔しがる…みたいなことを延々と続ける。それなのに、ジャンヌの魅力という一番重要な中核が抜けているので、どうして国王が惚れるのかも分からない。途中からルイ16世まで味方してくれるが、彼になにかした覚えもない。なんの魅力も感じられないが作中では凄いということになっている主人公が、周りと違うことやって有名になり、周りが悔しがったり驚いたりする感じ、見覚えがあると思ったら量産型なろう転生小説ですね。ジャンヌを監督本人が演じているのも鑑みて、本作品は"もし私が、あの素晴らしいデュ・バリー夫人として生まれていたら"なのである。流石に現代知識はないので、オセロ作ったり水車作ったりはしないが。なんか、自分とジャンヌとの区別が付いてないんじゃないかな。終盤とか特に悲劇のヒロインという役割に酔いしれてる感じがする。ちなみに、ルイ15世を演じるのはアンバー・ハードとの泥沼裁判後初の映画出演となったジョニー・デップ。序盤のコスプレでちょけるシーンは名人芸の域に達していた。
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