あーち

四月になれば彼女はのあーちのレビュー・感想・評価

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)
4.1
映画の終盤にかけて、登場人物の言動の伏線が回収されていくのが面白かった。
序盤のシーンでは、結婚式を目前として仲睦まじい幸せなカップルのようだが、職場の変化、隠された本心、知らなかった直近の趣味、表面に現れなかった冷めた気持ちに気づけなかった藤代、そしてそれらの蓄積や元カノからの手紙によって『愛の終わり』に恐怖し音信不通となって旅立ってしまったやよいの姿がこの映画の重要な軸となる。元カノの手紙に描かれた数々の言葉が、自分と重なったからこそやよいは藤代の元カノである伊予田の元に行ったのだろうと想った。自分と同じ考えの人にやっと会えた事が嬉しかったのだろうか。先が短い元カノと永遠の未来を誓った今カノの対面のシーンはなんとも切なかった。
印象に残っているシーンは多々あったが、特に残っているシーンは2つ。走馬灯のように過去の思い出が駆け巡るシーンは切なくも美しかった。2人で何気ないことを笑い合うこの日常が、幸せが、気持ちがいつか壊れてしまうことがきっと怖かったんだと想像できる。もう1つはクライマックス、藤代がやよいを海岸で追いかけるシーン。物語中盤、動物園で藤代がやよいを追いかけるシーンと重なる。動物園のシーンでは藤代を受け入れていたのに対し、砂浜では逃げようとしている。追いかけてきてくれたことの安心があったのだろうか、罪悪感があったのだろうか。でも、逃げても追いかけてきてくれたのは藤代が初めてだったのだろう。(現に元彼は追いかけてきてくれなかったから藤代とやよいは付き合っている)
やよいと藤代の『愛は終わらない』ことをやよいが信じられた決定的なシーンだと感じた
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