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ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)の教授のレビュー・感想・評価

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いわゆる「商業用」の「劇場公開作品」が困窮しているためか、近年こういった「ドキュメンタリー」作品が乱発して公開されているが、正直本作もわざわざ映画館で観るべき作品かはわからない。

本作で言えばジャン=リュック・ゴダールという監督のバイオグラフィー、フィルモグラフィー、そして証言としてのインタビューと、本人のインタビューや撮影風景を収めたフッテージ映像の羅列といえば羅列で、作品自体の強烈な個性や切り口というのは本作にはない。

恐らくゴダールという映画監督/作家の入門的な意味ではわかりやすいとは思うが、却って、作品に直に触れてしまうと困惑しそうは内容ではある。
作品や時期にもよるが「難解」とされるゴダール作品ではあるが、その人となりや作風、表現の独特さは、そこはかとなくでも彼の監督した映画の中で十分読み取れるものなので、この手のテキストがどういう影響があるかはわからなかった。

本作で興味深いのは、ひとつの「答え合わせ」としてのジャン=リュック・ゴダールの人となりの部分。
よく言われる気難しさも含めて、女性への「求愛」と映画制作が結びついている切実さと、ややこしさ。
孤独であることと、先鋭的であることによるゴダール自身のエモーショナルな言動は面白い。

「映画」に固執し「女性」に固執し、ひとりの人間の中にある天才を持て余し、怒りながら行動するその姿と発言の「エモさ」こそが最大の魅力。
僕は、いくら映画それぞれが「難解」で理解が及ばないとしても、その「やるしかない」という気持ちの熱量こそに惹かれる。

少なくとも本作の中で「怒り」と「孤独」の部分をピックアップして見せてくれたことは良かった。
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