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雨降って、ジ・エンド。のmmmのネタバレレビュー・内容・結末

雨降って、ジ・エンド。(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

※内容にふれています。
また個人の考えや解釈が多く含まれます。

群青いろの新作

写真家志望だけど、いまいち自分の
進む道を見つけ出せないでいる日和。
ある日、雨宿り先で偶然みかけた
道化師の雨森の写真をSNSに
載せたところバズってしまいます。
そのことをきっかけに、雨森に
写真を撮らせてほしいと近づきます。
利用するだけのはずが、次第に2人は
打ち解け、日和は雨森のことが
気になりだすのだが…


思ったことを、どんどん
口にしてしまう日和と
日和のペースに巻き込まれながら
打ち解けていく雨森の会話の
テンポがなんとも面白く、
軽やかなラブコメのように
展開していきますが、
一筋縄ではない話であることに
気付く瞬間がやってきます。
それは雨宮のもつ性的嗜好について。

昨年公開の「正欲」という作品でも
取り上げられていました。
ちょっと乱暴な言葉かもしれませんが、
あの作品はどちらかといえば、
マジョリティに向けた問いかけの
作品であると解釈しており、
この作品は当事者側に寄り添った
作品だと感じました。

雨森は、自身の嗜好が道理として
許されないということを自覚しており
仕事を辞め、妻子も失っています。
道化を演じることで、自分の感情を
押し殺すように生きているわけです。

自分が当事者でないので
推測の域を越えませんが、
単純にめちゃくちゃしんどい
のではないかと思うのです。

無論、踏み越えてはいけない
一線がありますが、第三者が
気持ち悪いと片づけることにも
少し違和感があるのです。

最初こそ嫌悪を抱いた日和が
雨森を理解しようとしていく展開は
今までの作品にはない視点でした。
もし、雨森がケアされたとしたら
…それはやっぱり素敵なことだと思います。
(本当はそんな簡単じゃないんだろうけど)

誰かにとって光になるんじゃないかな。
そうだといいなぁ。

後半は賛否を生む展開もありますが、
観てない人があれこれ言うのは
嫌なので書きません。
軽やかで、テンポのよいラブコメから
あの空気が変わる瞬間の
ぶん殴られたような感覚
映画館で映画を観るって
面白いなと思う瞬間でした。

もう随分と活躍されていますが、
快活で無邪気さ全開の古川さん
時折感じる不穏さも含め、
安定+幅広い表現力の廣末さん
2人の掛け合い、とても良かったです。


※厄介な時代なので念のため記載
しておきます。
他者の嗜好そのものを暗に否定
することには違和を感じます。
その思いを前提として書きましたが、
性被害などを容認・助長する意図は
一切ありません。
ご留意ください。








◆ひとりごと
この作品ではないのだけれど、
表現を仕事とされている方が
出演作でもなく、鑑賞もしていない
とある作品
(登場人物の男女に年齢差がある)に
対し、キモいなど短絡的な
言葉を並べて否定されていたのを
みてしまいまして…
それも、その作品を好きと言って
いる知人でもなさそうな方の投稿に
引用する形で。
性加害問題にはとてもしっかりと
した考えがあるのに、
自分の好きな作品を意図せず
否定されたり、自分の嗜好に
悩む方のことは考えなかったのか。
とても複雑な気持ちになりました。
こんなことがあったゆえ、
確かに賛否はあってしかるべき
かもしれませんが、雨森側に
寄り添ったストーリーだって
あっていいはず。
mmm

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