ヘイヘイ

PERFECT DAYSのヘイヘイのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.7
「すべてのものにはヒビがある。そして、そこから光が差し込む」Leonard Cohen 「Anthem」より

ヴィム•ベンダース監督がインタビュー(YouTube有)で、平山というキャラクターを作り上げていったプロセスとして、当初より僧侶がイメージであったこと。そこからシンガーソングライターでもあったLeonard Cohenが僧侶見習いでトイレ掃除を含む雑事をこなしていたことに繋がっていったのだと語ってます。

このレナード•コーエンって人、自分は初耳だったので調べていたら、前述のAnthemからの一節を知りました。この差し込む光っていうのは、まさに平山が追い求めている自分という存在を確認するための光になり得るのかなぁと。

決まりきったルーティーンだけをこなしているように見えて、平山を取り巻く世界も常に変化に満ちている。そんな小さな変化が彼にとっては何より愛しい。”木漏れ日”は、最たる例であり、その一瞬を切り取る日々が繰り返される。決して同じ日にはならない日を変わらぬやり方で繰り返す、というパラドックス。

圧倒的な情報の渦の中で変わりすぎる”わたしたちの日々”
いろんな意味で平山は、“わたしたち”より、持ってるものは少ない。でも、何にも縛られず自分の幸せを追い求めるシンプルな日常。この作品が好きになってしまう理由は、そんな生活への憧れなのかもしれないなぁと。あとは、他人の生活を覗き見ているような面白さ。(ザ•ノンフィクション大好き人間なので)

インタビューの最後、監督はこう言ってました。

“平山”はどんな人の中にも存在している。
ただし、自分の中の”平山”を受け入れた時だけなのだ、と。

「平山という男はどこから来たのか」
↑この作品を読み解く上で、かなり参考になりましたので鑑賞後にみるのおすすめです。https://youtu.be/3rtwl8xN_PE?si=mlmqNpZl6yFc1Gdq
 
終盤、おじさんが2人で話してるだけなのに、街灯のピンボケが美しすぎるシーンであ〜映画館で観れてよかったなぁと思いました🥲

影の話。急に熱くなる平山のシーンでグッときた。映画で切り取られた時間の中では、重なりそうで重ならなかった人(お昼のOLさん)との、出会いもきっとこの先あるのでしょう。そういう意味で、ずっと終わらずに生き続ける映画になってるかな、と。
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