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ミッシングのfilmaholicのネタバレレビュー・内容・結末

ミッシング(2024年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

大阪での舞台挨拶後に鑑賞。石原さとみちゃんが7年前に、自分にはこんな作品や世界観のオファーは来ない、とある種自覚したからこそ監督に直談判し、叶ったころが妊娠出産を経てからで、青木さんも言っていたけどあえてしなくてもいいというか、避けてもいいと思ってしまうほどの重さだった、けどやり遂げた、命かけた、が2時間たっぷり訴えかけてきてしんどかった。
娘がいなくなった、かわいそうな夫婦、探す時間、といえばそうなんだけど、そういう時のマスコミ、警察、親族、町内会、友達、職場の人、ご近所さん、ネットの向こう側のごみ...のリアルが時間をかけて丁寧にというか自然に描かれていて凄いなと思った。
あと、髪の毛どころではないから伸びて色も抜けて、薄くなってきておしゃれではなく邪魔だから結ってるだけ、肌どころではない、寝て起きてるだけの肌質、眉毛..女優石原さとみというより、そういう女の人、に見えた。
元からさおりは弟にあんなに言葉悪くて手も出すのかなと少し嫌気がさしたけど、私も弟がいるからわかるけどそんなはずなくて、最後に一緒にいたのがお前だから、さらに預けた私が悪いから、さらに一人になったのは違法賭博に行ってたから...という事実から、それがもう暴言と暴力に溢れていたんだなと、最後の圭吾と美羽の動画を見てわかった。
夫婦間の温度の違いも描いていて、それもリアルでいっそ一緒にいない方がいいのでは?と思う瞬間もあったけど、毎日同じ場所に帰ってきて寝て起きて生きていたからどちらも諦めたり自殺するようなことがなかったのか?とすら思う。
確かに夫が冷静に見えたけど、でも最後にさくらちゃんのお母さんが手伝いたいって駅に言いに来た時の青木さんの震えるような泣きを冷静に見るさおりを見て、あぁ、夫婦は一緒に狂ったら堕ちるから、一人が壊れそうなら1人は冷静なんだなと、納得した。
酔いつぶれた人の隣では酔いつぶれられない感覚に近いもの。
砂田もリアルで怖いというか、狂って壊れたさおりに深入りしすぎて本来の働き方が出来なくなるというか人間として接してしまったリアルもわかりやすかった。
圭吾も、やったのかな、と思わせる見た目、態度..
姉からとはいえあれだけ死ね死ねと失せろ連呼されたら、いたずらされて解雇されたら、自殺しちゃうのでは?と心配だったけど、これも最後に「美羽に会いたい」と泣いたのを見て、やってないからこそ、会いたいからこそ生きている、んだなと。
説明セリフも一切なく、でもそれぞれの表情などからわかることがたくさんあった。
自分の子がいなくなったら、親族が最後一緒にいたらならどうするか、どういう態度で接するか、ネットに何を書くか、マスコミにすがるのか..到底、気持ちはわかりますが、ではないものだった。
わかるわけがない。
できることもない。
でも、もし街で人探しのビラ配りをしている人がいたらもらうだけもらおうというとこから始めたい。
カラー印刷にも配るにも、時間もお金も人の労力もかかっていることがわかったから。何もできなくても、何もしないと一緒にならないでいよう。
保護されましたの電話で泣きながら警察へ飛びこんだらいたずら電話だと発覚したシーン、映画史に残る、悔しいシーンでは。圧巻。
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