眠る猫

バカ塗りの娘の眠る猫のレビュー・感想・評価

バカ塗りの娘(2023年製作の映画)
4.0
バカ塗りとはバカ丁寧に何度も繰り返し塗っては研ぎ塗っては研ぐ、青森の伝統工芸津軽塗りのこと。
津軽塗り職人の父の仕事を手伝いながら、自分の道を見つけていく娘。

自由奔放な兄とは対象的に、子供の頃から何をやっても上手くいかず、やりたいことさえ母親にムリよと言われてきた娘。
漆塗りをやりたくても、父親に反対され、自分の思いさえ素直に言えない。

伝統工芸の後継者問題。若い人に後を継がせるにも仕事にならない伝統工芸品。子供に継がせることを反対する親。
どんな伝統工芸や伝統芸能も伝統を守りつつ新しいものを取り入れていかなければ消えてしまう。

父と娘が並んで作業するシーンが良い。

途中の母親の娘に投げかける言葉が酷すぎて少し辛い。
最後はちょっと話が大きくなりすぎた感じもしなくもないけど、津軽塗りの未来が広がる感じが良かったと思う。

映画の中では美しい漆器や模様がたくさん紹介されている。
序盤では、短い時の流れはカレンダーで表現されていたけれど、途中からカレンダーは無くなり、彼女が歩く外の風景で季節の移り変わりが表現されている。

漆職人の後継者問題もさることながら、日本産の漆が減っている問題もあると思うけど、そっちはどうなってるのかなぁ?

台詞にもあったけど、持続可能と言いながら伝統は全然持続できない世の中になっているのはなんだか矛盾してる。
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