荒涼としたフィンランドでナチス相手に無双するオッサンの話。劇場で観たのに書きそびれてました。
「シス」ってのは「不屈の精神」みたいな意味らしい。
「シス(死す)」なのに、とにかく死なない。
何回か「絶対死んでるよね!?」って瞬間があったが、特に説明も無く生き延びる。
公式サイトに「北欧版ジョン・ウィック」とあったが、ジョン・ウィックというよりもターミネーター。特級の呪術師を相手にしているようなもんで、悪い奴らではあるものの、ナチスの皆さんには
「ご愁傷さま、運が悪かったね」
という感想しか浮かばない。
「一人で敵を全滅させた伝説の男」
「アイツを怒らせたらヤバい」
「今は引退したって聞いたが何故ヤツが?」
と、ナチスの中でも噂になってるの笑いそうになる。もうこんな死亡フラグをビンビンに立てるセリフ発してる時点で、キミらナチスの運命は決まったようなもんだよね!
加えて、「男は背中で語る」とばかり、無言で様々な罠を仕掛けていく姿がシブすぎる。
特に前半、様々な道具で、ナチス相手に一人で戦う姿は、マスターキートンを彷彿とさせる。
普段、意味なく「よっこらしょ」とか「冷蔵庫、なんか無いかなー」とか、そんな独り言ばかりの俺なのだが、とりあえず、今年はもう独り言を言うのを止めようと心に誓いたくなる、無口な男のカッコよさが存分に出ていた。
調べたら、主演のヨルマ・トンミラ、調べたら2008年に「ナチスが最も恐れた男」って作品でも主演してんのね。そっちの作品でもこんなに無口なのかな? めっちゃペラペラ喋ってたらイヤすぎるんだけど、もしご覧になった方いたら教えてください。
「絶対諦めないマン」「絶対ナチス殺すマン」の主人公の心象をセリフの代わりに代弁するようなドラマティックな劇伴も聞き所だった。
関係ないけど、中盤に出てくる川、ちょっと深すぎて怖かった。あんなマリワナ海溝クラスの川がフツーに横たわってるフィンランド、絶対いきたくない、と思いました。
冒頭にも書いたけど、「絶対死んでるやろ!」ってシーン(スマキにされるシーンとか飛行機のシーンとか)があるのに、全く気にせず強引に進んでいく主人公にはカタルシスしか感じませんでした。観終わったあと爽快感すら感じさせる快作。
鑑賞後は、なぜか「スシ」が食べたくなって、「スシロー」に。
「明日からツルハシの素振りを始めよう」
と独り言を言いながら、お新香巻きをパクパク食べたのでした。
(おしまい)