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夜明けのすべてのAyaxのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
3.5
原作未読。
嫌いではないけど、他の人が絶賛してるほどには自分には刺さらずだった。人のレビューを読んでると、みんな優しさを求めてるのだなと感じる。
内容をよく知らずに観に行って、恋愛映画なのかなと思ったら全然違った。
パニック障害の山添くんとPMS(月経前症候群)の藤沢さんの話。二人とも仕事に支障をきたすほどのレベルで苦労している。
PMSは軽〜重の度合いの個人差はあれど、女性ならほとんどの人が経験あるのではないかなーと思う。心身共に症状も様々で人による。男性は一生ならないし、普段男性に説明することもあまりないから映画で知ってもらうのは良いことかも。逆に、女性で全くPMS的なのがない人もいて(本人が無自覚な場合もあるかも)、たかが生理でしょみたいな人が実は一番たち悪いかもしれない。
この映画の藤沢さんを見てて、そんなひどいなら休みな!早退しな!って思うんだけど、ひどいのがもし月に2、3日あるとしたら毎月は休みづらいよね。会社によっては生理休暇とかあるけど、あれどのくらい使われてるんだろうとか考えてしまった。取得する権利はあっても使いづらそうな休暇。表立って言いたくはないが、体調悪いのに言いづらいというのもどうなんだろうというアンビバレント。
山添くんの髪がやけに長いのもそういう理由なのか。パニック障害の方は発作が起きるかもしれないから長時間拘束されるのが不安で、美容院は行けない場所の代表らしい。
藤沢さんと山添くんのやり取りで病気にどっちが上(より辛い)みたいなランクがあるみたいな会話がハッとさせられた。そういうの良くないね。
私は今のところは心身共に健康なので(多分)、しんどい人もいるって頭の片隅に置いておきたいなと思った。病気について、全てを理解するのはおそらく無理だし、望まれてないと思うので、存在することを理解しておこうという感じ。自分は健康なのでって書いちゃったけど、グラデーションだから、自分とあの人は違うみたいのも良くないよなあ。
上白石萌音さんと松村北斗さんの演技は自然な雰囲気だった。SixTONESのメンバーはほぼ認識できてなかったけど、松村北斗さんは覚えた。異性の同僚の家にあんな気軽に上がるかねとは思いつつ、あのポテトチップスの食べ方でこの人たちの関係に惚れた腫れたはないのだなと一応わかる。彼女らしき人と鉢合わせした時も、藤沢さんはそういう感じじゃなさそうだと数秒で伝わる。
大したことは起きないけど観ていられるので、日常描写を撮るのが上手い監督なんだと思う。ただ「ケイコ 目を澄ませて」も私は合わなかったので、この監督とあまり合わない気がしてる。
よくこんな地味な企画で作れたなと思ってたら、文化庁の助成金が出てるみたい。社会で理解されづらい病気にスポットを当てた映画ということでかな。
私には刺さらなかったけど、学びはあった。
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