【圧倒的な映像美、そしてキリスト教への懐疑】
19世紀後半。
デンマークの若い牧師が、アイスランドへの宣教を命じられて、北の果ての島に上陸して悪戦苦闘する物語。
ちなみにアイスランドは長らくデンマークの支配下にあり、またヨーロッパでルターによる宗教改革が起こった16世紀以降は、ルター派による宣教が行われていました。
アイスランドが国家として独立したのは、第二次世界大戦中の1944年のことです。
といっても、若い牧師に寄り添った映画ではありません。
逆に、北の果てのアイスランドで宣教することがどういうことなのか、その点に疑問を投げかける内容になっています。
しかし、この映画でもっとも注目すべきはアイスランドの自然を映し出す映像美ですね。
監督の映像感覚のすばらしさに、まず、ひれ伏せ!と言いたくなる。
そして牧師の行動は、キリスト教という不自然で奇怪な(日本人からすればですけど)宗教の内実を暴いている、と言えなくもない。
厳しい自然の中で、それなりに生きているアイスランドの人々と、どこか奇形である若い牧師の対比が、日本人からすれば説得的。