KnightsofOdessa

Disco Boy(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

Disco Boy(原題)(2023年製作の映画)
1.5
[正面から"美しき仕事"をパクってみた] 30点

2023年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。Giacomo Abbruzzeseの初長編劇映画。ベラルーシ人の青年アレクセイは途中で友人ミハイルを失いながらもフランスへ辿り着き、仏外人部隊に入隊する。一方、ニジェールの反政府ゲリラを率いるジョモは妹ウドカを引き止めながら、最大の作戦を決行しようとしていた。そして、二人はアフリカの地で出会うことになる。西欧に憧れを持つアレクセイは外人部隊でアレックスという名前を手に入れて"西欧化"され、一方で西欧に憎悪を抱くジョモの人生とも重なっていく。その点でベラルーシ人をフランツ・ロゴフスキが演じているのは正直意味不明で、ミスキャストにしか思えない。白人だったらナイトクラブのダンサーになりたかったというジョモの言葉通り、アレックスはディスコに行ったことでジョモの人生と混ざりあったような感覚を得る。仏外人部隊に(特にラストの)ダンスといえば『美しき仕事』っしょ!という比較が世界中でなされている。私もそれに乗っかって、昨年ヘレナ・ヴィットマンが撮った『Human Flowers of Flesh』という、時間旅行の末に『美しき仕事』と交わる奇跡のような映画と比較してみたい。同作ではクレール・ドゥニの特徴である身体の湿っぽい官能性からは離れて、反復や遅延といったヴィットマン的なアプローチから『美しき仕事』に近付いていった。それに比べると本作品は、現代における語り直しを直球で行ったという印象を受ける。あまりにも直球なので情緒とかエロティシズムとか諸々が欠落し、エキゾチズムだけが際立った思わせぶりな映像の羅列という理解不能な取捨選択をしていた。

DoPはアリーチェ・ロルヴァケルやエリザ・ヒットマンを支えるエレーヌ・ルヴァールであり、特にジョモと出会って以降の夢幻的な映像(ヘリから垂れたロープにしがみついて下に広がる世界を見るとことか)は素晴らしい。あと、軍隊の行進でエディット・ピアフ歌ってるのは新鮮すぎた。
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