アー君

世界の終わりからのアー君のレビュー・感想・評価

世界の終わりから(2023年製作の映画)
2.8
紀里谷氏の作品は今回が初鑑賞。映画監督というよりも写真家、ミュージシャンPVを制作しているという印象がある。過去の映画宣伝媒体はPhotoshopのエフェクトを極限的に使っていたのが鼻について敬遠していたところもあった。今回のポスターはシンプルで逆に惹かれるものがあったので映画館へ足を運んだのが理由である。(多少は何かをしているだろうが)

感想として発想は悪いとは思わないが少し微妙だった。ハナを演じた伊東蒼の演技は申し分ないのだが、いつも悲しそうだけどこんな状況でも人間は意外に冷静な表情をしているとは思うが。夢の世界にいる化け物もジブリもどきな感じで、なんか変な映画だった。

高校の物理学で相対性理論の授業がある事に無理があったので、おそらくこれが物語の伏線になるのかなとは思った。

夢の世界は彩度を落としてながらも、少しデジタル加工をしているようだが、敢えてそこまでしなくてもフイルムカメラにフィルターを通す方法で大丈夫だとは思う。炎とかはいかにもCGだったので見ていて皮肉にも冷めてしまった。

終末論と相対性理論や未来と輪廻の関係をもう少し分かりやすく描いて欲しく、あまりにも要素が多く、支離滅裂で散漫な感じはした。

現在のコロナ禍において作者なりに何かを感じてこのような映画を作ったのだろう。またSNSを使ったシーンは匿名投稿に対する批判を暗に示していたが、本人の経験談として何かの私怨や憤懣(ふんまん)を読み取ることができた。

今後は映画業界から距離を置くようだが、本数が少ないのでまだ作れるとは思うし、他のスタイルの作品を観てみたかった。ただただ残念で勿体ない気はする。

[池袋HUMAXシネマズ 11:50〜]
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