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君たちはどう生きるかのえくりぷすのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

宮崎駿が原作・脚本・監督を手がけた映画。

数年前に『君たちはどう生きるか』というタイトルが発表されるや、吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』が原作ではないかと推測され、羽賀翔一による漫画版がベストセラーになった。

蓋を開けてみれば小説『君たちはどう生きるか』とは全く異なるストーリーだった。映画の原作・脚本は宮崎駿自身が手掛けている。つながりは映画の中で主人公の少年が小説『君たちはどう生きるか』を読むシーンが出てくるぐらい。

太平洋戦争の頃、小学生の眞人(まひと)は母親を火事で亡くす。実の母親の妹の夏子があたらしい母親になるという。母親の実家に疎開し転校するが同級生にいじめられ、学校に行きたくないので自分で頭に傷をつける。そんなとき夏子が行方不明になり、探しに行った眞人は青サギに導かれ異世界に足を踏み入れる。

ファンタジーの物語の定形である「問題を抱えた少年少女が異世界を旅することで成長し問題を乗り越え現実に戻る話」である。

本作での問題は眞人が母親の死を受け入れられず、あたらしい母親を"お母さん"と呼べないことである。

異世界を旅するなかで、夏子おばさんを"お母さん"と呼ぶことができ、異世界での母親=ヒミ(火事で死んだから異世界でも火の巫女として登場する)と交流することで母親の死を受け入れることができた。

なぜ異世界へ導くのが青サギなのか?眞人は火事がトラウマになっていること、そして「青サギが鳴くと雨が降る」という言い伝えがあるからではないだろうか。雨が降れば火事は鎮火する。

シワだらけで表情豊かな老婆だったり、ごはんをおいしそうに食べるシーンだったり、何考えているかわからない小さな生き物(=ワラワラ)だったり、ジブリ映画の定番シーンが出てくるのでジブリ映画が好きな人は安心して楽しめると思う。

宮崎駿の集大成と言ってもいい。個人的にはこれまでのジブリ映画をはみ出した規格外の映画なのではと予想していたので予想は大いに外れたが……。
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