メシと映画のK佐藤

コカイン・ベアのメシと映画のK佐藤のネタバレレビュー・内容・結末

コカイン・ベア(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

もう少しはっちゃけられなかったかなー…と言うのが、正直な感想です。
ホラーとコメディどっちつかずの内容と、話の組立の拙さで、「コカインでラリった熊」と云う折角の面白い素材を活かし切れていなかった惜しい作品でした。

パンフ掲載のスタッフの弁によれば、本作はホラーとコメディの融合を図ったとのこと。
それが悪かったのか、ホラーとしてもコメディとしても中途半端な印象を持ちました。
半端に怖くて半端に笑える。
コカインでラリった熊なんてぶっ飛んだ素材、使えばどちらの面でもおバカな方向に突き抜けて行きそうな雰囲気なのに、突き抜けて行けず終いであったのが本当に惜しい。
最初に熊に襲われるカップルの名前が、オラフ(下の名前がクリストフ)とエルサと云うふざけ過ぎたネーミングで笑かして貰って、期待していたんですけどねー。

話の組立方に関しても、余計な登場人物が多くて、其々の人物描写が中途半端。
最終的に生存したのがサリ、ディーディー、ヘンリー組とギャング組であるのだから、登場人物を彼等に限定すべきであったのでは?
チンピラ組、森林警備隊組、刑事組はそこまで必要性を感じなかったし、彼等の描写のせいでコカインベアの襲撃の描写が分散されて、散漫な印象を受けました。

パンフの解説を読んで知ったのですが、本作はレーガン大統領時代(本作の舞台となっている時代)に進められていた麻薬撲滅キャンペーン及び麻薬戦争とその燦燦たる結果への皮肉が込められているとのこと。
人間が持ち込んだコカインにより最終的に人間が森から一掃された状態になる結末なので、それを知った上で観ていたら、また違った感想になっていたのかもしれません。

日本公開決定前の情報や予告編等から少しハードルを上げ過ぎたかもしれませんが、上述して来た通り、もう少しコカインベアと云う最高の食材を巧く調理出来たはず。
実に惜しい一本でした。