風ノ助

無垢の瞳の風ノ助のレビュー・感想・評価

無垢の瞳(2022年製作の映画)
4.0
アリーチェ・ロルヴァケルが描く大戦中のイタリアのカトリック孤児院でクリスマスを迎える日のお話

クリスマスイブの日、子どもたちはシスターの目を盗んで戦況を伝えるラジオを流行りの音楽に変えてみんなで歌い踊ります
おっとりして要領の悪いセラフィナは歌ってないのにシスターに「悪い子」だと決めつけられ罰を与えられます

クリスマスなので村の人が卵を70個も使ったケーキを捧げにきます
子どもたちはケーキを食べたいのにシスターは神様に捧げるために我慢しなさいと言う
実は若い神父への賄賂として贈るため
でもセラフィナだけは私は「悪い子」だからと賛成しなかった
意外にも反骨精神のあるセラフィナ

果たしてケーキは誰が食べられるのか

院の中で絶対的権力を持つ院長と逆らえない孤児たちとの関係はファシズムが台頭するイタリア社会の縮図を見ているようです

最後に子どもたちが「この映画の教訓は〜♫」と歌いますが答えは言いません
教会の体制への批判?
貧しいからこその共有の精神?
いろいろ考えるのも楽しい

院長を演じているのは監督のお姉さんで『幸福なラザロ』にも出演しています

オープニングクレジットがお話に組み込まれていたりつけ襟をした女の子たちの服がとっても可愛かったり童話のように美しくてユーモアのある映像だけどちょっぴり毒も含まれている甘くてスパイシーな映画でした
風ノ助

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