ティンク

ゴジラ-1.0のティンクのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.0
【確定レビュー】
『やっぱり 「永遠の0」+朝ドラ+ゴジラ』

(妻の感想)「早くその隙間に二人で入れよ!」






初日鑑賞後の暫定レビューはコメント欄に転載しました。

で、再度IMAXレーザーで鑑賞した結果の感想ですが、変わりませんでした。なんでそうなったのか考えてみたんですが…。

そもそも一作目のゴジラって、「キング・コング(1933)」に憧れて特撮の道に進んだ円谷監督が、第五福竜丸事件を元に、ハリーハウゼンの「原子怪獣現わる(1953)」の設定をパクって、でも予算も技術もないので着ぐるみで怪物を登場させた、いわゆる「ゲテモノ」映画だったわけです。
今でこそ反戦メッセージ云々言われますが、当時、そこまでの意識はそんなになかったと思います。なので、ゴジラ映画のドラマ部分は最初からリアリティ低いです。ゴジラ研究の博士には美人の令嬢、その恋人はイケメン青年、で、元婚約者の片目の異端科学者との三角関係って、なかなかのぶっとび設定ですよね。

一作目の大ヒットを受けて、大阪商人の「ウチにも来てや」の声で半年後には2作目が作られ、以降綿々と紆余曲折ありながらゴジラ映画はつくられてきました。
(3作目、円谷念願のキング・コング、風船で吊るして輸送って、そんなんありえるの?・・・でもそんなアイディアにワクワクしてきた訳です)

で、ある日そんなシリーズの新作を任された庵野監督、考えたんでしょうね。どんなにやってもゴジラ映画でドラマは嘘になる。ということで「ドラマ」は放棄して「対応」を描くことにしたのが「シン・ゴジラ」だと思います。

そして今回ですよ、その庵野監督のあとを任されてしまった山崎貴監督。いやぁ、考えたんでしょう。
①「ドラマ」放棄はもう使えない。なら徹底して臭いドラマにしてやる。どうせ何をやってもそう言われるし。その結果の朝ドラ化。
②そのかわり、CGシーンはやりたいこと好きにさせてもらう。オマージュしたい作品もあるしー。
③今こそ「永遠の0」で「特攻を美化してる」等色々言って来た奴らにリベンジしてやる。

①はもう【暫定レビュー】でも書きましたけど、ドラマ部分は、出演者も、ストーリーも、セリフも演出も、ほぼ朝ドラです。これはもうワザとしか言いようがない。朝ドラって、朝忙しい主婦の方が、家事をしながら音だけ聞いていてもわかるように作られているんですよね。なので、セリフで全部説明してくれるし、特別な映像も必要ない。
戦後「俺の戦争は終わってない」なんて口に出して言った人がいたとは思えないし、言わせないで語るの映画なのでは。

②は、予算の制約があるのでしょうが、もっと襲撃・破壊シーンを色々見たかった。せめて「東洋一の可動橋」と呼ばれた勝鬨橋の破壊だけでも。でも、予算をかけない工夫もあって、漁船追いかけのシーン。ゴジラは顔を少し海上に出してるだけなので、全身のCG作らなくてすみますもんね。「ジョーズ」っぽいという声もありますが、鮫はヒレが近づいてくるだけですが、あのゴジラの動物のような眼に睨まれながら逃走するのは、結構な恐怖でした。素晴らしかった。

③はもう、オープニングから決着まで、色々言ってきた連中にこれならどうだと言っているようです。

なので、やっぱり『「永遠の0」+朝ドラ+ゴジラ』
山崎監督のいいところも悪いところも入った集大成でした。

再鑑賞は、ラストの典子の首をちゃんと見れてなかったので確認したくて観たのですが、あれは、「シン・ゴジラ」のラストに負けたくない監督の思いととらえました。

最後の最後の海中シーンは、平成ゴジラシリーズへのオマージュかと。

(妻の感想)
「早くその隙間に二人で入れよ!」

(スコアは「-1.0」ということで)

【追記】
山崎監督とホイチョイの馬場さんとの対談Youtube観ました。監督自ら、結構朝ドラ観てキャスティングするんですよ、とカミングアウトされたました。やっぱりね。
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