ティンク

猿の惑星/キングダムのティンクのレビュー・感想・評価

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
3.5
『さらなる続編群で何を描きたいのかな?』
(惑星規模の話?)

『猿の惑星/キングダム』観てまいりました。
猿の惑星シリーズについてコメントしようとすると、一作目のネタバレを避けることはできないので、一本も観たことない知らないという人は下記ネタバレするので、ご注意を。













映画一作目の元ネタ、ピエール・ブールの原作小説は、地球から宇宙に行った人間が猿の惑星に到達して散々な目にあって、なんとか地球に帰ってきたら、地球も猿の惑星になってたというオチでした。作者が第二次世界大戦中、日本軍の捕虜になっていた経験が着想の元だそうです。(白人こそが人間で、黄色人種は猿だという思想ですね)
そんな原作から「トワイライトゾーン」の創始者ロッド・サーリングが生み出した絶妙な脚本、そして伝説的なラストシーンともあいまって、猿の惑星のシリーズ化は始まりました。

結局、猿の惑星の昔は今の地球でしたという話なんですが、そこから無理くりSF的なアイディアを駆使して猿の惑星誕生を紐解く続編たちが作られ、五作目「最後の猿の惑星」で、一旦円環が閉じられました。

そんな完結した内容どうするのかと思いましたが、リブートした前三作では、高度な猿の発祥と勃興を旧四作目「猿の惑星・制服」のエッセンスを取り入れつつ猿のヒーロー「シーザー」の新たな物語として語り始めました。そこからはシーザーの物語なので、彼の仲間や家族が大変な目にあったらどうするの話になっています。(惑星規模の話じゃないすね) そのシーザーの伝説を受け継いでの数百年後の話が本作です。

(なので、宣伝文句の「完全新作」に違和感。冒頭、シーザーのお葬式ですやん)

そんななので、退化した人間と高度化した猿との熾烈な話になるのかと思っていたら、ん、猿VS狂暴猿? ゴジラ×コングとどっちがどっちと話題になった訳ですね。

でどうなるかと思ったら、人間はしたたかに生きてるっぽくて、猿と共闘して狂暴猿に向かっていくという。

ちょっとがっかりだったのが、本作ででてくるある施設、形といい立地場所といい猿が働かされている状況といい、なんか前作のあの施設とほぼ同じに見えてしまいました。

結局、したたかな人間側も実は十分猿たちと戦える状況になっているということで、続編の制作意欲満々です。
(その人間たちがなんでそんなに数百年も生き延びられてるのがとっても疑問でしたけど。電力とかもねぇ)

楽しい作品が作られていくのはいいし、続編でもリブートでも作られる意味があればそれで素晴らしいと思うんですが、わざわざ本作を作って、続編も作っていって何を訴えたいんだろうということに、私がダメダメなので、思い至らない自分でした。

【蛇足①】
今回(旧1作目から観ている立場として)一番笑ったのが、ラカの「この娘の名前はノヴァにしよう。いつでもそうすることになってるんだよ」的な発言。歴史の書物にもそんなこと書いてあるの?w

【蛇足②】
本作のラストであの施設の扉が開いたときに、サプライズでサミュエル・L・ジャクソンが出てくるんじゃないかと思ってしまいました。最近そういうの多いので。

【蛇足③】
シリーズとしては無きものにされている、ティム・バートン監督の「PLANET OF THE APES/猿の惑星」。個人的には結構好きです。旧5作のエッセンスをつめこんで、ピエール・ブールの原作小説的なポイントまで取り込んでいるので。

【蛇足④】
今までって、「猿の惑星」といいつつ一部の地域の話しか出てこなかったけど、本作ラスト、人間側であんなことできるなら、もしかして惑星規模の話になるのかな? それは新しいぞ。
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