「ビバリウム」の監督によるホラー・サスペンス。
ダニがいっぱい出てくるのでダニ好きの人には★5の作品。
子供服ファッションデザイナーのクリスティーンは、黒い犬の幻影を観たことにより精神を病んで仕事を休職。7ヶ月後、ようやく仕事に復帰した彼女の前に、頼んだ覚えのないフィリピン人のお手伝いさんダイアナが現れる。夫のフェニックスが否定的な見方をする中、クリスティーンの痙攣を不思議な術で治癒させたことにより、ダイアナはクリスティーンと娘のボブスの信頼を得ていく。だが、ダイアナには秘密があるようで……、という話。
要は「歓迎されざる同居人」モノ。
「NOCEBO」は「プラセボ(偽薬効果)」のマイナス版みたいな意味で、「患者の負の心理状態が、悪い効果をもたらすこと」を指すとのこと。
ダイアナは一体何者で、何が動機でクリスティーン一家にやってきたのか……がサスペンスの縦糸となる。
とはいえ、ま、だいたい予想できるよね。
最初っからダイアナ、めっちゃ怪しいし。あと、フォローしている「ふらぴこ」さんによると
「ちょっとcoccoが悪魔に取り憑かれたような顔」
してて怖いし。
乙女塾から誕生した80年代のアイドルグループCoCoならともかく、coccoを家にいれるのは、いくら守備範囲の広い俺としても、ちょっと躊躇したいところ。
ただ、だからと言って退屈な作品というわけでもなく。とりわけ、coccoに翻弄されるクリスティーンの半狂乱っぷりがバラエティ豊かなので、最後まで飽きさせない。
痙攣する、床につっぷす、笑い出す、幻覚をみる、震えだす、絶叫する……などなど、「この人、大丈夫!?」とスクリーンに向けて声をかけたくなるくらいの病んだ主人公を見事に演じきったエヴァ・グリーンには頭が下がる。
逆に、夫であるフェニックス役のマーク・ストロング、無能すぎ。
妻の心配してるふりして、大事なシーンには殆ど出てこない。
一人だけハゲだからピカピカ目立つと思って手を抜いてない? あと、小鳥一羽に翻弄されすぎじゃない?
大の大人で、小鳥が飛びかかってきたくらいで階段から落ちてんじゃないよ。まだ、マーク・ストロングがカツラを被って出てきて、小鳥にカツラを取られて階段から転げ落ちる……とかいう展開だったら納得できんだけどさ、ちょっと無力すぎっしょ。
それと、夫婦の会話、coccoに筒抜けすぎ。
この家、メッチャ広いのに、夫婦の会話、ぜんぶcoccoに聴かれてるよ!? マーク・ストロング、自分の頭髪と嫁の精神状態を心配する前に、家のガバガバなセキュリティを心配したほうがいいんじゃないの?(※作中では頭髪の心配はしていません)
顔中にデキモノが出来た描写とか、ダニが襲ってくるところとか、精神的に「うわっ……」とドン引きしそうなシーンがちょこちょこ挟まれる。とくに、ダニが巨大化して襲ってくるシーンは、トラウマレベルで怖かったです。
あと、ジャケットにある口で蜘蛛をモグモグしてるシーンはないので安心してください。
冒頭にも書いたように、coccoとダニに襲われたい人にとっては★5の作品でした。
関係ないけど俺はすぐにサウナでノボセて、見知らぬ男たちに囲まれることがあります。
(おしまい)