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ソウルに帰るのクリームのレビュー・感想・評価

ソウルに帰る(2022年製作の映画)
3.9
主演が痩せたゆりやんレトリィバァ。そっくりです。フランスに養子に行った女性が、韓国の両親に何となく会ってみたいと思う所から、展開して行くストーリーで、彼女の成長物語でもある。監督は、カンボジア系フランス人で、70、80年代に途上国と先進国の間で盛んだった養子縁組制度の当事者なのだそう。また演じたパク·ジミンさんも韓国生まれフランス育ち。現実味があり、美化してないのが好きでした。

韓国で生まれ、養子としてフランスで育ったフレディは25歳。台風で東京行きが駄目になり、ソウルに飛び立ちます。 そこで出会ったフランス語が堪能なテナの助けで、実の両親を探し始めるのですが…。



ネタバレ ↓



思いつきで、韓国に来たので、韓国の文化や風習等知らないし、知った所で、私はフランス人だから関係ない!と言った感じのふてぶてしいフレディ。酔ってやりたい放題のあげく、知らない男とSEX
等、自由奔放。
ハモンドという養子縁組センターで、持っていた写真の電話番号から両親が判明。父は会いたいと言い、母は会いたくないと言う。
フレディは友人テナに通訳をして貰い父に会いに行きます。父親は再婚し2人の娘がいて、祖母は平謝り。父側には英語の出来る叔母が通訳をします。
父親は、一緒に住みたい。韓国の良い男性を紹介する等と言います。
フレディは断りますが、過剰に面倒を見ようとする父を迷惑がります。
2年後、再びソウル。出会い系で会った武器商人のアンドレとデートをした事がきっかけで、武器商人となります。
5年後、出張で韓国を訪れたフレディは、恋人マキシムと共に父と叔母に会います。
この頃には、大人になり随分態度が緩和され成長しているフレディ。父の体調を心配する彼女の為に父は自作の曲を披露します。マキシムが独学にしては悪くないと言ったのが気に入らずフレディは、マキシムを捨て、歓楽街に消えていきます。路地で眠り込んでいた彼女の元に母が再会に前向きだと連絡が入ります。ハモンドを通して、母に会い、抱き合う2人。母はメールアドレスを渡してくれました。翌年、誕生日を迎えたフレディは一人登山をし、ホテルで母に「幸せに生きているよ」とメールを打ちますが、そのメールアドレスは無効。
フレディはロビーでピアノを見つけ、弾き始めました。

正直、私はフランス人よ!と韓国人を見下した態度から、始まる嫌な主人公なのですが、父側も今まで放って置いたクセに突然、前のめりで韓国的な考えを押し付けて来る。どっちも何の構えもないまま会ったので、そんなもんなのだと思ったし、母が会いたがらないのもリアルに思えた。だけど、韓国で自分のアイデンティティーの何かを感じたフレディは、身を削りながら成長して行き、ラストは母に裏切られ、ウザイけど優しい父を思いピアノを弾く。監督も役者も経験者なので、表現が上手く惹き付けられる作品でした。長い時間をかけ、少しずつ解り会える父と娘の間には、やっぱり愛があった。素敵なお話だったと思えました。
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