鹿田鹿雄

猿の惑星/キングダムの鹿田鹿雄のレビュー・感想・評価

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
2.8
56点

シーザー亡き後から何世紀も経った舞台背景がリアルでしっかり描かれている。
具体的にはシーザーの教えを今でも覚えている猿がほとんどいなかったり、シーザーの名前を利用するだけのゴリラが出現したり、数少ないが未だに猿の支配からの脱却を練っている人間がいたり。
主人公の猿もシーザーのことは知らなく、人間のことは見下している設定で、一方が支配するのか共存するべきなのか分からないため、映画の中で一体どちらの考えに左右されているのか、各々によって違う読み取りができるようになっている。

猿の惑星の過去作品を一つでも観たことがある方、SF映画が好きな方などにおすすめである。

ここから下はネタバレで、惜しい点を紹介する。


正直国王シーザーの下にいる人間の博士の扱いが雑すぎる。メイに殺されて死体をそのまま海に捨てたところはその場にいた猿と全く同じ反応になったし、その後一切触れられることもない。

そして国王シーザーについて。
シーザーは『新世紀』のコバと全く同じ考えを持っているわけだが、何世紀も前には人間に支配されていたため、人間の武器を先に手に入れようとするのは自然だし、私利私欲のために猿を労働させているわけではないし、知恵がある人間の博士から教えを請いているため、根っからの極悪人とは思えない。
それが『新世紀』で善悪は場合によって異なるという争いが起こる仕組みを丁寧に描かれていただけに、今作ではただ雑に倒されるというのが残念である。
鹿田鹿雄

鹿田鹿雄