haizi

葬送のカーネーションのhaiziのレビュー・感想・評価

葬送のカーネーション(2022年製作の映画)
3.9
生きることと死ぬことの距離。
観賞後、そんな事を考えた。

試写会にて。
私にとって初めてのトルコ映画。

台詞や説明が非常に少ない為、状況や背景なども想像で補填しなくてはならず、難解な印象をったけど、難民の物語なのかな。

奥様の亡骸を“国境”に届けたいお爺さん、ムサ。預ける場所がないという理由でお爺さんに同行せざるを得なかった孫ハリメの目線で紡がれる物語。
旅にあんまり気乗りしていなそうなハリメの目に映るのはお爺さんの人生そのもの。
その人生を見つめるハリメの表情たるや。演技の粋を遥かに超えていた。

生きる事って、死に向かっている事なのよね。
老いて、死に近づいているムサが誰よりも一番、全力で生きているような印象を受けた。
だからこそ、ほんのちょっとの希望を感じるラストだったな。

移民や難民を取り扱った作品って云うと、凄惨で重い作品をイメージしてしまうけど、本作はとても寓話的。
絶望的な状況でも、身近な人や同じ境遇の人達で寄り添い助け合っていくような描写が多く、ほっこりするシーンが多くあったとこが好感↑↑


広大で荒涼とした自然の映像と、生と死のメタファーと思われシーンなども印象的。

小さい頃、意味がよく分からなくて面白くもなくて、けど気になって何度も開いてしまう絵本みたいな、そんな映画。
haizi

haizi