むらむら

バイオレント・ナイトのむらむらのレビュー・感想・評価

バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)
5.0
なぜかバレンタインデーにRー15で上映してたXmas映画。

同監督で、ノオミ・ラパスが一人七役を演じる「セブンシスターズ」も面白かったが、この作品も良作。

Xmasを祝う大富豪一家。そこにスクルージと名乗る男をリーダーとしたプロの強盗集団が乱入、セキュリティを皆殺しにして、一家を人質にする。狙うは300億円が眠る地下金庫。偶然そこに居合わせたのが、トナカイに置き去りにされた、本物のサンタクロースだった……という話。

ヨボヨボのサンタが満身創痍で強盗集団とガチバトルするのだが、子供がサンタを信じていくたびにサンタが強くなっていくのが面白い。後半、強盗連中を無慈悲に葬っていくサンタは、もはや単なる殺人鬼。欲を言うなら、後半はサンタがだんだんマイティ・ソーに見えてきたので、せめてもうちょっとサンタグッズを使ってエレガントに強盗団を倒してほしかった。

作中でも語られるように「ホーム・アローン」と「ダイ・ハード」、特に「ダイ・ハード」へのオマージュが満載なので、「おー、これ『ダイ・ハード』で観た!」ってシーンやシチュエーションが、そこかしこに出てくる。こんなに「ダイ・ハード」推しなら、ブルース・ウィリスに髪の毛をプレゼントしてあげればいいのに……。

強盗団のボスを「ザ・メニュー」にて「演技が下手だった」という理不尽な理由で犠牲になったジョン・レグイザモが憎々しいが、同時に愛らしいキャラクターとして好演。

「ダイ・ハード」フォロワー映画としてはかなりヒネリも効いてて、満足の出来でした。

ところで、俺以前、フィンランドのロバニエミって村で、

「世界で唯一の公式サンタ」

に会ったことある。誰が公式認定したか分からないが、世界中の子どもたちが、このロバニエミにある「サンタの家」を訪問するらしい。

サンタの家は、北欧調のログハウス風。中に入って、暖色にやたらデコレーションされた廊下を歩いた先にでっぷり太って、ジャバザハットか麻原彰晃にしか見えないサンタが座ってた。

俺が特に喜びもしないオッサン一人だったからか分からないが、サンタは終始無言。俺も無言。まぁ、俺(オッサン)が「うわーい、サンタさんだー♪」とはしゃいでもキモいだけなのは分かっているが、他に何をしろと……。

手持ち無沙汰で佇む俺。今にも寝そうなサンタ。オッサンvsオッサンが睨み合うシュールな光景を見かねたのか、係員の女性が俺をサンタの横に誘導してくれて、一緒に写真を撮る。退出を促され、サンタの部屋を出た。その間、わずか1分。

出たところでお会計したのだが、さきほどの写真(と動画)でお会計、日本円にして約1万円……。

子供の頃は、サンタはプレゼントをくれると思っていたのに、大人になった俺は、気付いたらサンタに1万円を払っていた。

サンタの家を追い出され、極夜で真っ暗なロバニエミの村で、夜空を見上げてが、サンタは見つからなかった。

この一件以来、サンタのことは嫌いになったのだが、この映画に出てくる本物のサンタを観て、もう一度だけ、サンタクロースを信じても良いかな、と思った俺なのであった。

メリークリスマス!

(おしまい)
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