むらむら

ウィジャ・シャーク2のむらむらのレビュー・感想・評価

ウィジャ・シャーク2(2021年製作の映画)
5.0
サメーガ「ウィジャシャーク」の続編。

「ウィジャシャーク」の内容は、一昨日観たクセに

1.監督がショートパンツの巨乳熟女好き
2.監督が森の散歩好き
3.ミスティックシールド!

の三点以外、すでに記憶から抜け落ちている。

続編は監督が交代。前作で主人公のショートパンツ巨乳鼻ピアス女・ジルの父ちゃんを演じ、霊界サメを「ミスティックシールド」という必殺技で撃退(※正確には撃退してないが、細かく書くの面倒くさいので割愛)して霊界に散った、ジョン・ミリオーレが監督だというではないか。

しかも、主演・脚本・特殊効果も務めるという、

「『JUNK HEAD』かよ!?」

と思わせるマルチっぷりを発揮。これは観に行かざるを得ない。

というわけで足を運んだのは、「ヒューMAX上映会」をやっている池袋HUMAXシネマズ。

【ヒューMAX上映会とは?】

この「ヒューMAX上映会」、

(コスプレ鑑賞可。サイリウム・拍手・手拍子可。楽器・クラッカーの使用可。)

だという。なんかよく分からんが、盛り上がっているようだ。

HUMAXシネマズは定員約200名強。開演ギリギリに到着し、受付でミニ太鼓(終わったら返却)とミリオーレ監督のお面をもらう。先着30名にお面が配られているらしい。

「先着30名……」

ロビーには配給会社コンマビジョンが持ち込んだサメTシャツグッズがズラリと並ぶ。スクリーンに入った俺はこう思った

「ひ、人、少ねえーー!!」

最前列近辺に座っている人たちは、コロナ規制だというわけでもないのに均等に感覚を空けて一人づつ座っている。

あとで聞いたら、本日の観客18名らしい。俺いなかったら17名じゃん。サッカーの試合も出来ない人数。ボッチの俺が言うのもなんだが、半分くらいボッチ鑑賞。ぼっち・ざ・シャーク状態。

だが、凄い熱気を感じる。熱かった。

グッズの「ミニ・ミスティックシールド」を購入して動作を確かめている人もいれば、バッグからドデカイ太鼓を出してる男性もいる。まだ場内アナウンスだというのにパーティークラッカーを鳴らしている人もいる。なんなのだこの圧倒的な熱量は。これがミスティックシールドの力か?

「音の出る打楽器、クラッカー、ミスティックシールドの使用は可能ですが、スマホは他人の迷惑になるので使用を控えてください」

場内では受付のお姉さんによるこんなシュールなアナウンスが流れている。打楽器のほうがスマホよりよっぽど迷惑な気もするし、ミスティック・シールドの使用はさらに大迷惑な気もするが……。

お姉さんの掛け声でミニ太鼓を叩く練習を何度か繰り返し、ついに81分の本編が始まった。

【本編の感想】

まず感じたのは

「前作より格段によく出来てる!」

って感想。予算、倍くらいに増えてるよね?

前回は森の中だけで話が進んで「もう、森はええやろ!」と後半では森が嫌いになりそうになったが、今回は

・冥界を彷徨うことになった父ちゃん
・その父ちゃんを探す新キャラ・母ちゃん

の物語が交互に語られ飽きさせない。

母ちゃん、圧倒的に地味なオバサンだが、父ちゃんとか後述する地獄の冥王が全員濃すぎるので、母ちゃんが出てくるとナゾの安心感が出てくる。

なので母ちゃんは前作と同じく森をブラブラしてるが、全然飽きなかったよ。

ついでに言うと、母ちゃんと行動を共にする占星術師、前作でも出てきたが驚くほど太ってて、最初別人かと思った。

【ミスティックシールドの父ちゃん】

ウクライナのゼレンスキー大統領似の父ちゃんも、前回の普段着とは打って変わって、黒いラバー皮の衣装に身を包んでてキマってるじゃん。見方によっては

「小太りのオッサンが無理してDr.ストレンジのコスプレをしている」

ように見えることもある。というかそうとしか見えない。

そんな父ちゃんは、観客の熱気で真っ赤になったような灼熱の第五地獄を彷徨って、唐突に出てくるゴリラとかを倒す。「なぜゴリラが地獄に!?」とか「着ぐるみがゴリラしか無かったんやろ」なんて考えてはいけない。

ここで「ミスティックシールド」を始めとした必殺技を、開始早々惜しげもなく披露してくれるのには驚いた。冒頭10分で

「ミスティックシールド!」
「ファイヤーボール!」
「パルスブラスト!」

と、唐突に必殺技らしきものを、ぜーんぜん出し惜しみせずバンバン出してくれるの最高! 必殺技の大判ブルマい! 「パルスブラスト」なんて面倒になったのかCGすらなく掛け声だけで敵ゴリラが倒れてた気がしても最高!

関係ないけど、「ついにヌード解禁!」と言いながら乳首を出し惜しみするグラドルは、ジョン・ミリオーレ監督の爪の垢でも煎じて飲んで欲しい。

【悪役】

悪役は、霊界サメを扱って世界征服(無理があるけど)を目論む、冥界の王・カルビュラス。

前回出てきたトランプはどーなったんだ? ってのは置いといて、冥界の王だけあって、なぜかTATOOがバリバリに入ったビキニ姿のグラドル崩れみたいな女子数名を、常に周りに従えてて、如何にも悪いヤツという風貌。

この冥界の王と、反社にしか見えないTATOO女たちの唐突なミュージカルシーンは、中盤の見どころの一つ。ミュージカルと言っても腰を揺らしてるだけだぞ!

「RRR」の

「ナトゥーダンス」

を100倍スローにしてもこの

「タトゥーダンス」

のクオリティには勝てそうだが、それでも、俺的には最高のシーンだった。

【クライマックス】

そして、一応主役であるハズの霊界サメが暴れて、街を破壊するクライマックス。

街が破壊されてくCG、予算があるからか、前作に比べかなり頑張っている(そもそも前作は森しか出てこなかったが……)。特に、地獄の瘴気が地上に侵食してくる描写は、ゴッホの「星月夜」を彷彿とさせる素敵なシーン。

もちろん、こうやってストーリーが進む間、総勢18名の鍛え抜かれた観客たちは、ミニ太鼓やミスティックシールド、クラッカーを使ってスクリーンに応援を送り続ける。

ちなみに、父ちゃんの活躍であれ、霊界サメが暴れるシーンであれ、お構いなくポコポコと音がしてたので、どちらを応援してる、というのがあるわけではないらしい。

【霊界サメ】

最後に主役であるところの霊界サメについて。

俺の感想は

「霊界サメ、明らかに前回よりラブリーになってる……」

だった。

・パペットを手にハメて動かしてるのがバレバレの上半身だけの登場。

・もふもふな質感。

・そして、つぶらな瞳。

大阪万博のキャラとかより、よっぽどこの霊界サメの方がゆるキャラ化してて可愛い。

これだったら熱海の秘宝感にあったサメのオブジェのほうが、よっぽど怖かったぜ!

しかも、霊界サメのメインな攻撃方法は

「目からビームを出す」

おいおい!

「ちょっと待って! サメってガブッと噛みつくからサメじゃないの?」
「目からビーム出すんならサメじゃなくてマジンガーZで良くない?」

と俺の心の中の理性が叫び始めた。

……さすがにサメが目からビームを出してきたときは目がサメそうになる。

だが、17人の仲間と一緒にミニ太鼓をポコポコと叩いてると、どうでも良くなってくる。

あぁ、ここに壺があったら、買ってしまいそうなトランス感……。

ロビーで売ってるサメーガグッズも、ミスティックシールドも、どこで着るんだ、と着る場所に困るサメTシャツですらも、大人買いしたい気になってくる……。

これがミスティックシールドの力か!

他にも、唐突に出てきたサメクッキーが滅茶苦茶かわいかったとか、破壊される街中のシーンで4-5人の群衆のド真ん中のお爺ちゃんがトロマ総帥ロイド・カウフマンだったとか、娘のジルが明らかに別の人だったとか、色々と書きたいことはあるが、大盛りあがりのうちに上映会は終了。俺的には、ワールドカップより盛り上がったぜ!

【終わってから】

終了後も、監督(父ちゃん)からのメッセージ、ミスティックシールド講座、コンマビジョンの人のトークショーと盛りだくさんだった。

なんでも監督、25年教師を勤めて早期退職。映画の道に飛び込んだらしい。現在はカナダのトロント在住。コロナ禍での撮影だったので、サメが街を破壊するシーンは、ほぼ一人で作ったと語る姿に、苦労の跡が忍ばれる。てかそんなんで退職して大丈夫か?

会場を出てからも、男性お手洗いの鏡にミスティックシールドが貼ってあったり、場外モニターで流れ続けてる監督インタビューを皆立ち止まって観てたり、とにかく配給会社と観客の愛を感じさせる上映会で、楽しく過ごすことが出来た。

いやー、まさかあんなにミニ太鼓叩いて盛り上がるとは思わなかったぜ。もう18人でそのままミスティックシールドを放出しながら街を練り歩きたくなった。

ついでに書くと、後ろの観客がステージに向けて、親の敵みたいにバンバンバンバンとクラッカーを鳴らしていたが、こんなにステージ上に向けてクラッカー鳴らしてるのを観るのは、渋谷道頓堀劇場以来だったぜ。

というわけで、帰りは執拗に声をかけてくるガールズバーの姉ちゃんにミスティックシールドをフカしながら、無事、帰宅しました。

こんなに一体感のある上映会に18人しか来場してないの、おかしくない? 少なくとも熱海の乱交パーティーに120人とか集まるんだから、もうちょっと観客増えてもバチは当たらないんじゃないの?

「ウィジャシャーク」を気に入った方は、機会あればぜひ足を運んでほしいと思いました。

(・∀・)<ミスティックシールド!

(おしまい)
むらむら

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