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カラオケ行こ!のAyaxのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
3.8
原作は既読で割と好きなので、実写化はどうなるのかなと思っていて、結論から言うと良かった。綾野剛主演、野木亜紀子脚本。
マンガの内容をそのまま映像化するとリアリティに欠けてしまうので、傘、映画部、合唱部のいざこざ、ももちゃん先生、歌詞の和訳、合唱のテキストなどなど、オリジナルの要素を盛り込んで、生身の人間が演じても違和感がないように改変されている。原作通りだと尺が短すぎるというのもあったのではないかと思う。それにしても邪魔にならない、それでいて意味のあるなかなか巧妙なアレンジ。
野木亜紀子さんなので、もちろんただ付け足したというわけはなく、愛(友情など含む)というテーマが貫かれていたかなと思う。マンガの方は割とギャグ要素が強めで、愛については強調して描かれてなかったので、その部分が今回の野木さん仕事の味かなと思う。歌は上手い下手でなく心。愛は鮭の皮。
改変部分では、新キャラのももちゃん先生(芳根京子さん)が素晴らしかった。芳根さんはもともとピアノが弾けるけど、野木さんが指定した合唱曲が難しい曲だったそうで、毎日6〜7時間、2ヶ月間練習したらしい。ほんまか??という練習量。本当ならすごい。関西弁も私的には違和感なく上手だった。
原作通りのシーンももちろんあって、聡実君が狂児の仲間に歌を教えるシーンでは、普通に声を出して笑ってしまった。
綾野剛の狂児もビジュアル的には原作とイメージが違うのだけど、これはこれであり。ヤクザが似合う。特に紅を歌うシーンはバリエーションが多くて全部面白かった(編集も良いのだと思う)。
そして、聡実役の齋藤潤さん。歌が上手くてちょうど変声期っぽい声で、オーディションなのだとしたらよう見つけたなあ(やっぱりオーディションらしい)。クライマックスの演技が素晴らしかった。
あと、エンドクレジットで流れる合唱っぽくアレンジされたLittle Glee Monsterの紅も良いのよ。紅✕合唱って狂児と聡実じゃん。粋。
一点だけ気になったのは、マンガの方がテンポが早いので、やや間延びしてるように感じてしまった。
原作未読の人は読まぬまま、どうなるか知らずに映画を観た方が良いと思う。
内容的に配信されてからテレビで観ても大丈夫。飛行機で観ても全く問題なし。私は飛行機でやることなくなったらこれ繰り返し観ても別にいいかもと思える。
続編の『ファミレス行こ。』も読む。
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