むらむら

リバー、流れないでよのむらむらのレビュー・感想・評価

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)
5.0
映画「ドロステのはてで僕ら」で、2分先の未来が見えるテレビを手に入れた京都の喫茶店のドタバタを描いたヨーロッパ企画。本作は、2分間がループする京都鞍馬山中の旅館「貴船ふじや」を舞台。

俺も

「ループ映画が三度の飯より好き」
「ループ映画ならとりあえず何でも観る」
「ループ映画が好きすぎて同じ映画を何度も観てしまう」

くらいの「ループ映画警察」ではあるので、3つ目の一行は痴呆が始まったんじゃないかという気がしつつも、この作品のポイントをあげておこう。

1.ループの間隔が短い

「ハッピー・デス・デイ」(https://filmarks.com/movies/74951/reviews/107920603)シリーズのように、一日を繰り返す作品や、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のように、死んだらある時点に戻される作品は多いが、この作品のように、たった2分で次にループする作品は、俺の知る限りこの作品のみ。TikTokに慣れ親しんだ世代でも飽きずに観られる親切設計。

2.登場人物の物分りが良い

「ドロステのはてで僕ら」(https://filmarks.com/movies/87089/reviews/95126802)でもそうだったが、とにかく、登場人物たちの頭の回転が早い。「パーム・スプリングス」の兄ちゃんなんて、一万回くらいループするまで何もしてなかったぞ(https://filmarks.com/movies/88720/reviews/109650845)。

加えて、登場人物全員が、ループ現象に気付いている、ってのも珍しい設定かもしれない。

3.とても行動が日本的

同じように東京の小さなデザイン事務所で起こったループが題材の「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」(https://filmarks.com/movies/104426/reviews/142619217)でも、日本人あるあるをネタにしてコメディ化していたが、この作品も、「あー、絶対に自分たちでも、こんな行動するよね」という共感が半端ない。

あくまで客に熱燗を届けようとする仲居。締切を気にする作家。何も疑問に思わず雑炊を食べ続ける客……どれも、「あ、自分の廻りにいそう」という人ばかり。

そんな内容なので、前作「ドロステ」が気に入った人は確実に気に入ると思います。ホント、論理的というか、理系脳で作った作品だなーと驚かされます。

そんな理系脳の中に入り込んだ偶然が、おそらく降り積もってる雪。これ恐らく偶然。でも効果的に様々な場面で第三の登場人物として活躍してくれてる。この「良い偶然」が、本作をさらに面白いものにしてくれてる。

劇伴がめちゃくちゃいいな、と思ったら、元たまの滝本晃司さん。さすがいい仕事。

乃木坂46の久保史緒里がキーとなる役で友情出演。

俺が旅館「貴船ふじや」の客なら、ループ直前に乃木坂46のCDを100枚くらい買い込んで、2分間分の握手券を片手にループ突入。永遠に久保史緒里と過ごすために、ループ脱出を全身全霊で阻止するだろうなぁ……と妄想するのであった。

(おしまい)
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