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天使の涙 4Kレストア版のBOBのレビュー・感想・評価

天使の涙 4Kレストア版(1995年製作の映画)
3.2
ウォン・カーウァイ監督による『恋する惑星』から派生した群像劇。

「毎日 大勢とすれ違う。そのだれかと親友になるかも。だから僕はすれ違いを避けない。ケガする時もあるけど楽しければいい。」

うーん、これはハマらず。今の自分には本作の良さが理解できなかった。映像は興味深く、終始雰囲気は良いので、疲れた夜にぼーっと観るには良かった。

好きだった所は、サントラ、香港の国際色豊かで雑多な雰囲気、夜のドライヴ映像。

4作鑑賞時点で、WKW監督作品はハマるハマらないがはっきり分かれている。『欲望の翼』『花様年華』はかなり好みの作品だったが、『恋する惑星』『堕落天使』はそれほど楽しめていない。前者は洗練された形式美みたいなものがあったのに対し、後者はよりフリースタイルで、詩的、感覚的な作品という印象。香港の雑多な雰囲気を映像化することには成功していることに異論はないが、ストーリーや世界観には入り込みづらく、斬新な映像とポップな音楽を魅せる"お洒落映画"だと感じてしまう。その2作の中では、俳優の魅力と明るさで、『恋する惑星』の方が好き。

幼少期に賞味期限切れのパイン缶を食べて口がきけなくなった肉屋の男モウ(金城武)。黙々とパイン缶を食べ続ける姿が記憶に残る。

クリストファー・ドイルによる挑戦的な撮影。広角レンズによる歪んだ映像。コマ落とし。黄色味がかった映像。モノクロ映像。ほとんど夜。モノローグ。

89
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