浄土

NOPE/ノープの浄土のレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.0
かつてアメリカにはニッケルオデオンという小規模な映画館があった。かれこれ100年くらい前の話なのでラインナップは当然サイレント映画だけで、単なる風景映像や日常の記録映像のような、現代の感覚では映画作品と呼んでいいのかわからない代物も上映していたという。このニッケルオデオンはスポンジボブで有名なニコロデオンの語源にもなっており、ニッケルが5セント硬貨、オデオンがギリシャ語で劇場を意味する。まあ要するに「5セント払ってちょっとした映画が見れまっせ」というような施設だったらしい。

閑話休題。

ストーリーに関しては少しでも語ると興醒めしてしまうので、このニッケルの持つ意味だけなんとなく頭の片隅に置いておくといいかもしれない。アメリカのエンターテイメントの歴史において、グリフィスの超大作に出ることなどなく、ニッケルオデオンで細々と見世物にされていたのは誰か?否が応でもエンタメの皮をかぶった怨嗟をひしひしと感じとってしまう。

ヒップなホワイトでも、マッチョなブラックとも一味違う。ジャンル映画としてのスリラーやホラーを換骨奪胎して、更に自身の置かれた立ち位置を自覚して作品に落とし込んでくるジョーダン・ピールはブラックナードカルチャーの星としてあいも変わらず燦然と輝いていた。監督した前2作に比べてオタク密度も更に上がってて好印象。

そういえばアメリカの5セント硬貨に描かれている大統領って誰だっけな。あっ、トマス・ジェファーソンか…(察し)

追記:
劇場ほぼほぼ満員だったのに「え、名前OJっていうの?マジ?」っていうシーンで笑ったの俺だけで寂しかったぞ…
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