回想シーンでご飯3杯いける

恋をするなら今宵のディナーでの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.4
男女2人ずつが集まるパーティーで、誰と誰がカップルになるのか? その「if」の世界をパラレルワールドとして描く、イタリア制作の一風変わったロマンティック・コメディ。

このアイデアを日本映画で取り上げれば、テロップ使いや髪形に変化を付ける等して、パラレルワールドを把握しやすく見せるのだろうけど、本作では恐らくわざと観客を混乱させるような作りになっている。同じイタリアの「おとなの事情」もそうだったけど、解釈を観客に丸投げするのはお国柄なのだろうか。

各々のパートで展開するストーリーは、人物の組み合わせのみならず、そこから互いの性格に影響を与え合ったり、周囲の人間環境にも変化を与えたり、多岐に渡る。これってどっちの組み合わせの話だったっけ?と筋道を見失う事もしばしばだったけど、それは作者の狙い通り、正に人生の迷い道そのものなのだろう。

男と女の出会いは、最初の組み合わせで全てが決まるわけでは無い。その後に訪れる幾多の分岐点や選択によって人生は大きく変わる。あくまでコメディの形を取りながら、そんな哲学的な示唆をも感じさせるユニークな作品だ。