回想シーンでご飯3杯いける

山の郵便配達の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

山の郵便配達(1999年製作の映画)
3.6
中国圏最大の映画賞である中国映画金鶏奨を獲得する等、2000年前後に中国映画の名作とされていた作品をようやく鑑賞した。ツタヤでも見かけた事が無かったのだが、amazonプライムでは見放題で配信されているのだから、近年のサブスク系配信は侮れない。

'80年代、中国の湖南省が舞台。ここでは1人の初老の男が二泊三日で郵便配達をしている。彼が担当している土地の範囲はとんでもなく広く、隣の家に辿り着くまでに山をひとつ越えなければならないという場面もしばしば。

そんな彼が引退を決意し、二泊三日の道中で、後を継ぐ息子に仕事を教えていく様子が描かれる。口数の少ない彼であるが、壮大な山の風景と厳しい道中が、郵便配達の厳しさを物語る。一方で配達先では、どこでも暖かく出迎えられ、彼の存在が住民にとって大切な物である事が分かる。

二泊三日という時間の流れと、男の半生がシンクロするような構成は、今で言うとどこかクリストファー・ノーラン的であった。派手さはないが、郵便配達に人生を費やした男の生き様を感じ取る。味わい深い作品である。

本作も、先日購入したプロジェクターにて鑑賞。その威力を満喫できる映画でもあった。