無知A

冬薔薇の無知Aのレビュー・感想・評価

冬薔薇(2022年製作の映画)
3.6
今作は、愛されたくても愛され方の知らない男、居場所が探しても居場所が見つからない男が、とある事件を機に、自分自身を見つめ直す物語。タイトルは『冬薔薇』だが、今作の主人公も寒々しい環境の中で、静かながらも激しさも兼ね備えた孤高の立ち回りで、冬薔薇を体現していた。内容に関しても、決して偽善を許さない今作の結末に不快感を覚える方もいるかもしれないが、このリアルで残酷な最期は文学的で魅力的だった。

よく、一度堕ちた人は中々抜け出せないと言うが、これは紛れも無い事実だと思う。何故なら、その人のアイデンティティが社会からすれば悪に属しているからである。様々な出来事、経験を積み重ねた先にある個性は、中々揺るがないものだと思う。今作でも、登場人物それぞれが葛藤を抱え右往左往しているが、多くの場合、始まりと終わりは真っ直ぐな線で結ばれていた。救いの無いというよりかは救われようの無い話だった。


(内訳)
面白さ 3.7
学び 3.7
構造 3.4
無知A

無知A