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ヴィンチェンツォのaiaiのレビュー・感想・評価

ヴィンチェンツォ(2021年製作のドラマ)
4.8
☆☆ノワールと吉本新喜劇のカップリングが楽しい

主人公ヴィンチェンツォ・カサノはイタリアンマフィアの弁護士で「満腹の猫」という異名を持つ。

お腹がいっぱいになった猫は、捉えたネズミをすぐに食べず、ひたすら死ぬまでもて遊ぶという。つまり、息の根をすぐに止めずにいたぶり続ける残虐さをたとえたもので、ヴィンチェンツォは同業者の世界でも恐れられていた。

冒頭、ヴィンチェンツォサイドのディールを断った敵対するマフィアのワイン農園を焼き払うのが象徴的。

弁護士だけに頭はすこぶる切れ者、タフネゴシエーターでとことん冷徹、しかも腕っぷしもめっぽう強い。男気があり、男に惚れられるタイプ。しかもそれは人に限らず、なんと鳩とも友情関係を築くほど(笑)。

そんな、マフィアのNO2ヴィンチェンツォが、とある契約案件で韓国へ舞い降りることになるのだが、そこから吉本新喜劇が始まる。

クールとは裏腹に、彼のなかに眠っているおとぼけ良いひとキャラを韓国という国が目覚めさせる。

かといって、新喜劇に終始するわけではなく(といっても終始ちょいちょい挟み込まれるが)、もちろんノワール色もたっぷり。

敵対する権力との、目には目を、歯には歯をのバイオレンスが強烈だし、「お前だったのかぁぁ!!」といった驚愕の展開もあり、弁護士もののリーガルサスペンス(駆け引き)にも引き込まれる。

ラストは圧巻。まさに「その男、凶暴につき」って感じ。

なによりも、この手の話にありがちな、最初は悪い人が物語を通して良い人キャラで終わるという安易さが無いのが心地よい。どこまでいっても悪は悪。

悪で終わるという潔さが、ヴィンチェンツォをしてヴィンチェンツォたらしめるのだ。

見終わると、ヴィンチェンツォ・カサノや彼を取り巻くファミリーが恋しくなり(笑)、きっとヴィンチェンツォロスになるのは間違いない。
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