回想シーンでご飯3杯いける

新機動戦記ガンダムWの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

新機動戦記ガンダムW(1995年製作のアニメ)
3.3
【TV/OVA版ガンダムを製作年順にレビュー中】

1979年に始まった放映が開始されたガンダム・シリーズも、この時点で16年目。ファースト・ガンダムから制作の指揮をとっていた富野由悠季も一旦現場から離れ、作風に大きな変化が現れ始めた事は、前回の「機動武闘伝Gガンダム」のレビューでも書いた通りだ。ちなみに、中学生時代にファースト・ガンダムと出会った僕も、この「ガンダムW」(ウイング)が放映された'95年といえば、20歳台後半。DJ活動が忙しく、リアルタイムでは放送を見ていない。他の多くのファースト世代も、いわゆる働き盛りといわれる年齢に達しており、シリーズとして新たなファン層を獲得するのは至上命題だったと思われる。

この「ガンダムW」でガンダムを操縦しているのは美少年。実はこれ、シリーズ初だったりする。それまでの主役だったアムロやカミーユは、どちらかというとオタクで、ガンダムを見ている男性視聴者が感情移入しやすい構図になっていたが、「ガンダムW」に登場するパイロットは、容姿端麗、お洒落、運動神経抜群、会話のセンスも良い。そんな男子が5人も登場して、喧嘩したり協力したりしながら戦いを繰り広げる。更に注目したいのが、そんなやんちゃで放っておけない5人を陰でサポートする女性指揮官が2人登場している点。この構図は、どう考えても女性指揮官側の視点での感情移入を促している、、、つまり、女性ファン獲得を強く意識していると思われる。

'95年と言えば、あのSMAPが大ブレイクした年でもある。オリコンで初首位を獲得したのが'94年、キムタク主演のドラマ「ロングバケーション」、「スマスマ」の放送開始が'96年だ。時代はアイドル氷河期からジャニーズ復活ムードに向かっている、まさにそんな時代だからこそ生まれた、新しいタイプのガンダムだ。

物語の内容は意外と硬派で、美少年5人はテロ実行犯という設定。政治ドラマもしっかり盛り込まれているし、後半では、戦う事の意味やジレンマが描かれている。この辺りのテイストは、2008年に放映された「ガンダム00」にも通じるし、男子の鑑賞にも十分堪えうる物だと保証する。