トノモトショウさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

シャザム!~神々の怒り〜(2023年製作の映画)

3.0

コメディ調な前作に比べて、神を敵に回すとシリアスかつシビアな展開となり、結果的にこのシリーズの持ち味が薄まってはいる。兄弟姉妹それぞれのエピソードで、まだまだ続編の可能性がありそうだが、そこまで物語に>>続きを読む

シャザム!(2019年製作の映画)

3.0

「子供なら誰もが憧れるヒーローに、子供自身がなってしまったら」というアイデアがメタ的な面白さを作っている。血の繋がりはなくとも家族愛は生まれる、というテーマ部分の描写が足りないが、それでも力を分け与え>>続きを読む

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

3.0

一言で「青春」といっても、友人関係や恋愛、家族の問題、あるいは社会そのものに身を置くことでもたらされる生き辛さといったものが、複合的に絡んで成立するものだ。それらすべてを丁寧に画面に投影することで長尺>>続きを読む

アフリカの女王(1951年製作の映画)

2.0

モサくて粗野なボガートと、レディ然としたヘプバーンによるボート版ロード・ムービーといった感じで、正反対なはずの二人が冒険を通して惹かれ合うのだが、後半は基本的にイチャイチャする様を見せつけられ、物語が>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.0

アンダーソンらしい舞台装置、相変わらず徹底された色彩と構図があり、物語のメタ化が異次元にまで到達している。そのため妙な難解さがあって、ただただ雰囲気だけを味わう作品になっている。写真に撮られるためにポ>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.0

ジャズのパワーをここまで表現してくれたことに感謝したい気分にさせてくれるほど、熱く胸躍る作品だ。アニメだからこそ活きる演奏シーンのダイナミックな演出があり、しっかりと音楽を伝えてくれる。物語やキャラク>>続きを読む

SHAME シェイム(2011年製作の映画)

2.0

女を抱いても満たされないし、自傷しても救われるわけではない。それなのに繰り返してしまう依存症がもたらす虚無感を描いているが、あまりに坦々とし過ぎていてテーマも見えにくいし退屈だ。キャリー・マリガンが歌>>続きを読む

ルーム(2015年製作の映画)

3.0

監禁→脱走というショッキングな出来事だけで一本の映画として成立するところ、その後を描くことで事の深刻さがさらに浮き彫りになる。まるで浦島太郎のように変化した状況に適応し切れない母、すべてが新鮮な世界を>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

1.0

マイノリティってそういうことじゃないだろ、と思わずツッコんでしまいたくなるほど、社会における多様性の解釈が絶妙にズレていることで、テーマが決定的に矛盾している。中盤あたりまでキャラクターの奥行を感じら>>続きを読む

いちご白書(1970年製作の映画)

4.0

自由奔放なカメラと粋な音楽がノンポリ青年の気楽な日常を描いていく。それが段々と学生運動にのめり込んでいき、いくつかの出来事が彼に闘争の動機を作っていく過程には緊張感がある。当時の彼らはみなそれぞれ似た>>続きを読む

ファースト・マン(2018年製作の映画)

3.0

余計な物語性から脱却して、よりリアルな描写が危機感・緊張感を与えているのは認めるが、そのストイックな姿勢がエンタメとしての魅力から遠去かっているのは否めない。とにかく本物のような、実際の映像のようなヴ>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.0

耳が聞こえないという設定を余計な台詞や音楽を排した静謐さに置いて、ボクシングというストイックな競技の肉体感を画面に映し出している。ただそのせいで主人公の心の変遷が表現しづらく、岸井ゆきのの演技に頼り切>>続きを読む

オールウェイズ(1989年製作の映画)

2.0

生者と死者が交錯する世界を我々だけが認知することの物悲しさと、そこにロマンチックな描写があるのは認めるが、物語がいまいちパッとしない。魅力的なホリー・ハンター、印象深い演技のジョン・グッドマン、遺作と>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.0

男らしさ(マッチョ)とは何かを、90歳を越えたヨボヨボのイーストウッドが語ることの重要さと、その説得力ったらない。単調さはあるが、ゆったりと描くことに意味があるようにも思える。まだ何者でもない少年&雄>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

1.0

杉咲花の演技とセンセーショナルなテーマがもたらす衝撃はあるが、映画としての構成があまりに稚拙で呆れ返る。物語の視点がブレブレなせいで一貫したストーリーが表出せず、そのくせ早い段階でネタバラシを始めてし>>続きを読む

ホステル2(2007年製作の映画)

3.0

前作とやっていることはさほど変わらないが、殺人愛好家達の変態ぶりが増していることと、ラストの逆転劇が痛快であるという点で、よりストーリーとしての面白味は付加されている。その分、グロテスクな描写は抑え目>>続きを読む

ホステル(2005年製作の映画)

3.0

前半はひたすらスケベな物語だが、ずっと不穏な音楽が鳴っていて、ここからどうやってサスペンス的な展開を見せていくのだろうかとモヤモヤしてしまった。いざスプラッタな描写が始まると、なかなかのグロさと狂気が>>続きを読む

キサラギ(2007年製作の映画)

3.0

伏線を張り巡らせた会話劇で、無茶な部分もあるにはあるが、二転三転するやり取りの面白さがある。なにより5人のキャラクターが立っていて、退屈になりがちな1シチュエーションでも演技の起伏で画面がもたつかない>>続きを読む

Pearl パール(2022年製作の映画)

3.0

異常殺人者はどうやって作られていくのか、という根幹の部分で非常にリアルさを感じた。環境のせい、人間関係のせい、何かの影響、そういったものは確かに引き金となるのかもしれないが、結局サイコパスというのは最>>続きを読む

X エックス(2022年製作の映画)

3.0

若くて性に貪欲な男女と、老いて枯れ果てた高齢者の対比に、悪趣味な気配を感じていると、一気にスプラッタな方向へと突き進んでいく展開が面白い。二役こなすミア・ゴスの演技は良いが、如何せん魅力に欠ける。

黒い家(1999年製作の映画)

3.0

内野聖陽や西村雅彦の過剰な演技がサスペンスの文法に合わず、コメディなのかスリラーなのか曖昧なまま物語は進む。だが、大竹しのぶのサイコパスぶりが一気に噴出してからは、それまでの流れと相反する恐怖が押し寄>>続きを読む

地上より永遠に(1953年製作の映画)

3.0

終盤あたりまで、上官の妻に手を出す曹長や、頑固な兵士が受ける嫌がらせと恋模様など、南国の浮ついた物語に終始するが、仲間の死と日本軍による奇襲が描かれると、それまでのことがすべて意味のない形になっていく>>続きを読む

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.0

不可思議な体験でありながら特別なことは何も起こらず、その潔くも温かい作劇が、このコンパクトな物語を愛しくさせる。子供の感性で描く世界観が絶妙で、台詞回しも洒落ている。無邪気に笑う二人の少女が可愛い。

ブラック・スワン(2010年製作の映画)

4.0

本来題材になるべき「白鳥」ではなく「黒鳥」から発想された物語がアロノフスキーっぽくもあり、プリマが課せられる相反する二役の葛藤に着目したことで、これまでにない「白鳥の湖」を映し出すことに成功した。とに>>続きを読む

ブラック・ダリア(2006年製作の映画)

2.0

回りくどくねちっこい演出のデ・パルマにミステリは合わず、ただでさえややこしい物語を余計にややこしくしている。それを解消するためのヒント的回想や、過剰なキャラ設定のせいで、ミステリらしさすら失われてしま>>続きを読む

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

4.0

全体的にスパイク・リーらしい軽快さと批評性があって、アメリカにおける白人と黒人の根深い対立について、どこかコミカルな視点で観ていられるのだが、ラスト5分のドキュメントでハッと我に返る。作り物ではない現>>続きを読む

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

1.0

音楽と風景の美しい描写がホラー的な雰囲気に飲み込まれていく前半は期待をもって観ていたが、語るべきテーマのアプローチが偏屈過ぎて、何ひとつ伝わってこなかった。グロテスクな終盤は主人公の女性同様、冷たい視>>続きを読む

ドラゴンボール 最強への道(1996年製作の映画)

3.0

悟空とブルマの出会いからレッドリボン軍編までを改めてリメイクする意義は感じられないが、GT風の作画が神懸かっている。特にブルマのエッチな描写に妙な拘りがあるのは、スタッフの遊び心だろう。ハッチャンとの>>続きを読む

ドラゴンボールZ 龍拳爆発!!悟空がやらねば誰がやる(1995年製作の映画)

1.0

ドラクエ的勇者と、街を襲う巨大な魔人、というもはや『ドラゴンボール』でもなんでもない世界観。悟空は最後に良いところだけ持っていく。トランクスの剣の出所が明らかになるエピソードではあるが、そんな風に意味>>続きを読む

ドラゴンボールZ 復活のフュージョン!!悟空とベジータ(1995年製作の映画)

3.0

TVアニメ・オリジナルの設定やキャラによるコメディ色の強い作品で、鳥山明的ギャグがうまく物語にハマっている。そのおかげで最後にゴジータの姿が格好良く映り、満足感の高いエンタメになっている。

ドラゴンボールZ 超戦士撃破!!勝つのはオレだ(1994年製作の映画)

2.0

しょうもない形で復活を遂げたブロリーが、よくわからない巨神兵のような怪物として立ちはだかるが、ギャグ要員の悟天&トランクスやサタンを絡めたドタバタ感で、丁度良いエンタメらしさがある。劇場版ではあまり活>>続きを読む

ドラゴンボールZ 危険なふたり!超戦士はねむれない(1994年製作の映画)

2.0

ブロリーの切迫した殺意と、ギャグ要員である悟天&トランクスとの間の温度差のせいで、芯のないバトルが続く。悟飯登場でようやくシリアスかつ純粋なタイマンが繰り広げられ、親子3人のかめはめ波で綺麗に纏め上げ>>続きを読む

ドラゴンボールZ 銀河ギリギリ!! ぶっちぎりの凄い奴(1993年製作の映画)

2.0

チート級悟空の退場によって、世界の命運が悟飯の背にすべてのしかかるものの、充分悟飯もチートだった、ということを描くためにダラダラと物語は進む。敵役も魅力がなく、目的もよくわからない。天津飯VSトランク>>続きを読む

ドラゴンボールZ 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦(1993年製作の映画)

3.0

ある程度尺が延びたことで物語性が強くなった上、しっかりとバトル要素も描くことができて、作中最強の呼び声高いブロリーの圧倒的な脅威が存分に堪能できる。悟空の尻に敷かれるお父さんっぷりが楽しい冒頭のコメデ>>続きを読む

ドラゴンボールZ 極限バトル!!三大超サイヤ人(1992年製作の映画)

2.0

青年トランクス含む超サイヤ人揃い踏みで、チーム戦形式の迫力あるバトルを中心とした作品だが、そのため物語があってないようなもので、ただTVシリーズの延長の域を出ない。人造人間のデザインにも新鮮さが感じら>>続きを読む

ドラゴンボールZ 激突!!100億パワーの戦士たち(1992年製作の映画)

2.0

一度倒した敵が機械化して再登場という定番の形。早い段階で一対一のバトルに突入するので見応えがある。倒しても修復され、それが何百体もいるという絶望感はあるが、脈絡もなく現れるベジータが特に活躍するわけで>>続きを読む