2時間半あまり、過酷で救いのない状況に緊張感を強いられ、このようなことがつい数年前にあり、今も続いているのであろう現実に打たれる。しかし考えてしまうのは、事実の重さの前で映画はどうあるべきなのかと言う>>続きを読む
「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」がヒットしたおかげか、キャスティングにしてもセットにしても贅沢で随所の素晴らしさは認めつつも、作品としては前2作に及ばない感がある。脚本のダイナミズムが足りないのと沢>>続きを読む
夜が明けるまでをワンテイクで撮り切る橋の長回しとか電車の撮り方とか素晴らしいシーンはたくさんあるのだけど、彼の他の作品に比べてセリフに頼り過ぎている感があって、ヒリヒリする緊張感が随所で断ち切られてし>>続きを読む
小津の戦前の映画はローアングルで撮ることによって未だ建物に覆われていない東京の開放的な風景やその上に広がる空を、経験したわけでもないはずなのにたまらなく懐かしい風景としてスクリーンに映し出し、それを眺>>続きを読む
西部劇と縛り首は切っても切れない関係にあり、オープニングの縛り首のための枝のうねった木を捉えたショットに血圧が一気に上がる。途中から砂漠地帯を越えるサバイバルロードムービーになるのもいい感じなのだが、>>続きを読む
オープニングの列車の場面や知り合った女が殺され追いかけられるハメになる流れはヒッチコック的で良かったのだけど、途中から話が停滞してラストにかけて盛り上がっていかない。ピーターローレの相変わらずのいかが>>続きを読む
田舎の四季の風景とか生活感とかは魅力的だけどエピソードがアッサリしていて並列的で主人公の変化とか成長が感じられないので卒業するラストに感慨が沸かない。悪くないショットもあるのだけどいらないところでいら>>続きを読む
最近あまり面白い映画を撮っていないクリストファーノーランなのであまり期待せずに観たけど、まぁーやっぱりだいたいこんなものかなーという出来。役者はいいし、ロスアラモスに原爆製造の為の街を作りそこに様々な>>続きを読む
幼い頃から自ら話すことをやめ,感情を代弁するようにピアノを弾く女性が最終的には言葉を取り戻そうとするまでを描いた作品で音楽や映像や役者はなかなかいいんだけど、女性を始めとする人物の感情や行動が腑に落ち>>続きを読む
主役の3人がとにかく素晴らしいのだけど、リーバンクリフの存在感、クラウスキンスキーの背中でマッチをつけ、彼に見つけられても臓物シチューを食べ続けける彼の鷲鼻を観るためだけでも劇場に足を運ぶ価値がある。>>続きを読む
子供たちの演劇サマーキャンプが舞台だが、子供のレベルがものすごく高く、長期間にかなり厳しい稽古を積み、プロを目指す子供の養成,選抜キャンプのように見える。そこにさまざまな問題が発生して公演ができなくな>>続きを読む
株の空売りをして弱小企業を食い物にして巨額の利益を上げる大手ファンドに結果として対決を挑むことになる男の実話の物語だが、彼に影響されて弱小ゲーム会社の株を買う豊かではない人々のそれぞれのエピソードが素>>続きを読む
ロサンゼルスを舞台にポジティブ思考に変われば全て上手く行くというアメリカ的能天気コメディでジムキャリーの暑苦しい演技に乗れるかどうかは微妙だけど、まあ、ディテールが工夫されていて楽しく観られる。
とにかくセリフが陳腐というか説明的というか,設定とテーマありきのドラマの深みのなさに呆れ,ヒロインが生きていたというラストには「これなんででいいのかー」と頭を抱えた。特撮観るだけの作品。
The Time to Live and the Time to Dieという英語タイトルが示す通り、意思とか理念とかと無関係に、コントロールできない生と死を淡々と時に冷酷に時にこの上なく美しく描く。>>続きを読む
50年代から60年代にかけてのまだまだ貧しい台湾を描いた3本のオムニバス。その貧しさになぜか心惹かれる。侯孝賢監督の第一話、オープニングの沈鬱な表情を浮かべて街を彷徨うサンドウィッチマン姿の男に田中登>>続きを読む
ラゥオール,ウォルシュの西部劇だけど、脚本が上手くなくてあまり面白くない。さらわれた婚約者を追跡するロックハドソンに加勢するのが敵を裏切った男とネイティブ・アメリカンの男の子とメキシコの女で、充分面白>>続きを読む
オープニングのクレジットで「撮影 宮川一夫」と出て来てびっくり。で,さすがの映像なんだけど脚本的に説明の場面多くて途中だれる。サブタイトルの親子の情愛を色々絡ませようとはしているのだけど、叙情的な場面>>続きを読む
70年代の漫画チックなエログロ感満載で、武士道を説きながら息子を姑息に使って敵を騙し討ちにしたり乳母車に仕込んだマシンガンで皆殺しにしたり,ラストは腹を刀で突き抜かれた加藤剛が延々と語り、若山富三郎の>>続きを読む
生真面目なユダヤ系アメリカ人が家族や仕事を巡るさまざまなトラブルやストレスからどんどん追い詰められて行くいかにもコーエン兄弟的な作品で、導入のエピソードが示すユダヤ人の業というか人生観,価値観が絡んで>>続きを読む
強引すぎるストーリー展開をマシューボーンが力技とノリで描き切った作品で、期待以上に面白かった。ヒロインが弱い小説家にピッタリの鈍臭い体型で,前半はそれがいい感じなのだけど、後半彼女が実は凄腕の工作員で>>続きを読む
数十年ぶりの再見で。「知りすぎた男」のイギリス版だが、トリフォーとのインタビューでも言っているようにリメイク版の方がサスペンスとしては遥かによく出来ている。彼のイギリス時代の雰囲気とピーターローレの胡>>続きを読む
チラシのデザインが「ファーゴ」っぽいところに惹かれて観たのだけど、「ファーゴ」の十分の一も面白くなかった。サスペンスとしても家族を巡るドラマとしても法廷劇としても中途半端で、まあ、夫婦でこういう確執は>>続きを読む
まさか観られるとは思っていなかったビクトルエリスの新作。襟を正すような思いで見始めたが、なんかかったるくて,眠気に襲われ始める。こんな馬鹿な、どうしたエリスと思っていたら、「リオブラボー」の「ライフル>>続きを読む
元警察官が二つのヤクザ組織に雇われて二つを戦わせて同僚の仇を討つという、「インファナル,アフェア」と「用心棒」を混ぜてたような作品を清順がとっていた驚き。自分の母親がパンパンだったことを言われると相手>>続きを読む
鈴木清順の過剰さに唖然とする一本。多くの作品がストーリーとかテーマなるものををいかに効率的に印象的に見せるかに汲々としているのに対して彼の作品はそういうこととは関係ない、そんなところ普通は省略するよう>>続きを読む
パニック障害の男とPMSという心の病を持つ女の物語。ヒッチコックだったらスリリングなラブサスペンスに仕立てあげそうな設定だが、三宅唱はドラマチックな展開を避けてこの2人が少しずつ前進する様子を丁寧に,>>続きを読む
昔観た「普通の人々」が面白くなかったので敬遠していたこの作品だったが、思っていた以上によかった。川と弟演じるブラットピットの存在感が素晴らしい。ラストの弟の死以外はある意味日常生活の積み重ねで大きなド>>続きを読む
以前ヘンリーフォンダのの出た「胸に輝く星」という西部劇がかなりいい出来で、それに出ていたネヴィルブランドの悪役っぷりが素晴らしく、他に何に出ていたのか調べたら,その昔恐怖映画の紹介番組でちょっとだけ見>>続きを読む
失業した夫婦が職探しに苦労してギリギリまで追い詰められてレストランを始めるまでを描く。数多の映画だと、大声出して喧嘩したり愛のこもった言葉をかけてみたり、最後は笑顔で抱き合ったり,つまり夫婦の泣き笑い>>続きを読む
マッドサイエンティスト的な大学教授が、自殺した女性に彼女が妊っていた胎児の脳に入れ替え蘇生させ彼女を家の中に閉じ込め生活している、という設定はとても魅力的でそのストーリー展開に大きな期待を寄せて観たの>>続きを読む
辺鄙な海辺の寒村で敬虔なクリスチャンの父親に育てられた美しい姉妹。求愛や芸術への誘いを頑なに拒み、亡き父の教えを守りながら年老いてゆく。ディズニー映画とかだと自由の喜びを知った妹が「私らしく生きてゆく>>続きを読む
冒頭のアメリカ南部の油田地帯に吹き荒む風の中疾走する黄色いスポーツカーと,その車が行き着いた屋敷に吹き込む凄まじい量の枯葉と鳴り響く銃声に,映画ってこういうものだと思う。油田王一家の凋落とそれに巻き込>>続きを読む
あいも変わらず、自意識過剰で蘊蓄と皮肉ばかり言っているインテリくずれの冴えない男が女性に恋してバタバタするウッディアレンの映画。そのワンパターンぶりに「寅さんかっ!」とツッコミたくなるけど、やっぱりそ>>続きを読む
オープニングの雨に濡れるヤクザ者の背中のショットはいい感じで彼がたどり着くのが大阪の中学校の合唱コンクール会場で、山下敦弘の大阪といえば「美園ユニバース」という素晴らしい作品があって期待が高まる。が、>>続きを読む
傑作「ハスラー」のロバートロッセンのボクシング映画。主人公の屈折感とか胡散臭い興行の感じとか女性の存在感とか「ハスラー」と重なるところがあって悪くないのだけど、ポールニューマン演じるハスラーに比べると>>続きを読む