ICHI

東京の宿のICHIのレビュー・感想・評価

東京の宿(1935年製作の映画)
4.0
小津の戦前の映画はローアングルで撮ることによって未だ建物に覆われていない東京の開放的な風景やその上に広がる空を、経験したわけでもないはずなのにたまらなく懐かしい風景としてスクリーンに映し出し、それを眺めているだけでも十分なのだけれど、そこに腹を空かせた兄弟のやりとりだの、美しい子連れの女性と美しいとは言えない飯田蝶子演じる人のいい女性との対比だの、なけなしのお金で夕ご飯を食べている時に降り出す雨の凄さだの、映画としか言いようのない数々の出来事に観入る至福の時間。
ICHI

ICHI