ICHI

人間の境界のICHIのレビュー・感想・評価

人間の境界(2023年製作の映画)
3.7
2時間半あまり、過酷で救いのない状況に緊張感を強いられ、このようなことがつい数年前にあり、今も続いているのであろう現実に打たれる。しかし考えてしまうのは、事実の重さの前で映画はどうあるべきなのかと言う今更ながらの難問で、もちろん映像はフィクションであろうとノンフィクションであろうとそこで起きたことの記録であり、そう言う意味ではフィクションとノンフィクションの確たる境目などなく、「炎268」も「怒りのキューバ」も「無防備都市」も「最前線物語」もみんな素晴らしかったわけで、じゃあこの作品はどうかというと、あざとい演出やいかにものメッセージ性を抑えて複数の視点からこの出来事をモノクロで撮ったことは評価されるべきだと思う。が、事実の重みだけではない、事実の濃度ではなく映画の濃度みたいなものが画面を覆うような瞬間はなかったように思う。
ICHI

ICHI