ICHIさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

3.2

あいも変わらず、自意識過剰で蘊蓄と皮肉ばかり言っているインテリくずれの冴えない男が女性に恋してバタバタするウッディアレンの映画。そのワンパターンぶりに「寅さんかっ!」とツッコミたくなるけど、やっぱりそ>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.1

オープニングの雨に濡れるヤクザ者の背中のショットはいい感じで彼がたどり着くのが大阪の中学校の合唱コンクール会場で、山下敦弘の大阪といえば「美園ユニバース」という素晴らしい作品があって期待が高まる。が、>>続きを読む

ボディ・アンド・ソウル(1947年製作の映画)

3.4

傑作「ハスラー」のロバートロッセンのボクシング映画。主人公の屈折感とか胡散臭い興行の感じとか女性の存在感とか「ハスラー」と重なるところがあって悪くないのだけど、ポールニューマン演じるハスラーに比べると>>続きを読む

恐喝の報酬(1950年製作の映画)

3.5

野心に満ちたカメラマンの男を描いた作品で,この嫌な男が最後にどんな死に方、自己破滅の仕方をするのかが途中からひたすら気になるわけだけど、彼を追い詰める富豪婦人が悪党のタレコミをあっさり信じる安易さは脚>>続きを読む

拳銃を売る男(1953年製作の映画)

3.5

「犯罪者と少年の逃避行」という設定だけで気持ちが掻き立てられる。彼はは少年にだけは心を開くだろうし、少年は彼の理解者になるだろうし、人々は彼を誘拐犯と決めつけるだろうし、最後は少年の目の前で彼は殺され>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.6

いい映画ってストーリーを追いかけるだけじゃなくて画面を、ショットを、音を、役者の振る舞いを、息づかいを、風景を、情景を、画面が不意に動き出す瞬間を、映画としか言えない得体の知れないものを観る快楽に浸る>>続きを読む

その男を逃すな(1951年製作の映画)

3.1

導入の強奪から警官を撃って屋内プールに逃げ込むまでの一連のシーンはこの時代の犯罪映画の匂いに満ちていて素晴らしいのだけど、そのプールで知り合ったシェリーウインタースの家に立て籠ることになって以降になる>>続きを読む

ほかげ(2023年製作の映画)

2.9

女が若すぎて生活感がないので、なんで少年にあそこまで感情移入するのか分からず、子供を失っていたことが後半わかってもなんか腑に落ちない。女が病気になって少年を突き放すという展開もとってつけた感じ。少年に>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

3.9

もう観れないと思っていたカウリスマキの新作で、相変わらずの無表情な人間たち、バーの場末感、殺伐としたヨーロッパの街が変に心地よい。映画へのオマージュも満載で、ラストシーンの2人が立ち去る後ろ姿は見事だ>>続きを読む

港の女(1928年製作の映画)

3.3

マイルストーンの「雨」と比べると色々物足りなく感じてしまう作品。雨の質感、閉塞感、宣教師の妻と主人公の女との確執、雨と太鼓の響きの中で理性を失って行く宣教師、女が自分の罪を受け入れる程の浸透力を持つ宣>>続きを読む

結婚式のメンバー(1952年製作の映画)

3.0

自分の感情がコントロールできないティーンエイジャーの女の子の捲し立てるセリフの狂いっぷりが面白いのだけど、ずっとこの調子で変化がないので段々飽きる。音楽が説明的でショットも凡庸。隣人の少年や黒人の青年>>続きを読む

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

4.4

前にいつどこで観たのか思い出せないのだけど、絶対観ている。サイレント映画的なショットの繋ぎでストーリーを語って行く素晴らしさ。登場人物の無表情さがハードボイルド的であり喜劇的でもある。ニヒルでクールだ>>続きを読む

夏の嵐(1944年製作の映画)

3.8

革命前後のロシアを舞台にしたストーリー的には古典的ともいえる展開の作品なのだけど、流石のダグラスサークで一つ一つのショットやセリフが極めて適切で、しっかり面白く見せてくれる。日本でいえば成瀬巳喜男かな>>続きを読む

(1932年製作の映画)

3.6

ウォルターヒューストンを睨みつけるジョンクロフードの凄まじいまでの目玉を見てやっぱりベティデービスと姉妹なんだなーと実感。ウォルターヒューストンの顔つきが豹変するする瞬間にも息を呑む。顔と雨の音がシン>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.8

まずまず期待通りで、死と戯れる男たちをコミカルかつ暴力的に描く。細かいエピソードとかやりとりが面白く楽しめるのだが、作品全体としては散漫な感じも否めない。それはラストに向かって求心力に欠け、光秀の首を>>続きを読む

ブラック・レイン(1989年製作の映画)

3.9

おそらく30年ちょっとぶりに観たのだけど、印象に残ったことは昔と変わらず、1.大阪が「ブレードランナー」のロサンゼルスで、肉屋は「エイリアン」の宇宙船。(この頃までのリドリースコットはよかった) 2.>>続きを読む

暗殺の森(1970年製作の映画)

3.8

ヴィットリオ、ストラーロの撮影がなんとも素晴らしい。ドミニクサンダの絡み方とか、脚本的にはやや退屈なんだけど、ショットの色合いと円環運動に魅せられる作品。

ドミノ(2023年製作の映画)

2.5

「キラーズオブフラワームーン」を観ようかと思っていたのだけど、先日スコシージの映画であまりいいと思ったものはなかったことに気がついて、きっと退屈な3時間を超える映画より、90分といういかにもプログラム>>続きを読む

アンダーカレント(2023年製作の映画)

3.9

銭湯の蛇口のショットで引き込まれた。演出が的確で嘘を言うことと本当のことを言うことという主題を上手く物語にしている。ラストのカットアウトとその後の繋ぎとか見事。主人公のトラウマのシーンが安直で不自然な>>続きを読む

一晩中(1982年製作の映画)

2.6

具体的なストーリーを持たず、夜の質感と闇の中で愛を求め苦しむ人々の断片的なセリフで一本の映画になるかというと、ならないなぁ、ということを実感した作品。サミュエルフラーのセリフにもあるように映画は感情で>>続きを読む

ゴールデン・エイティーズ(1986年製作の映画)

2.5

アケルマンが撮ったミュージカルということで観てみたけど、これが面白くない。面白いミュージカルって感情が単なる言葉を超えて溢れ出る瞬間が感じられたり、歌い踊る役者の身体の存在感の凄さだったりするのだけど>>続きを読む

サルカール 1票の革命(2018年製作の映画)

3.4

腐敗政権を倒し理想的な民主主義を実現する主人公が、フランクキャプラやジョンフォードの作品に出てくるようような主人公とは全く違って、歌った踊るスーパーヒーローなのがインド映画ならではなんだけど、このテー>>続きを読む

キリング・オブ・ケネス・チェンバレン(2020年製作の映画)

3.9

事件が起こったアパートに舞台を限定し、映画の時間と実際の時間を同じ長さにし、臨場感を高める。結末もテーマも人物の造形もあらかじめ分かっているので意外性は皆無で事件の詳細を確認して行くことになるのだが、>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

3.5

アクションシーンの動きにオリジナリティが感じられるのがこのシリーズの魅力。次から次と物量作戦的に刺客が来てそれを尽きない武器で倒すのはオンラインゲームの世界なんだろう(やらないから想像だけど)けど、単>>続きを読む

幸福(1934年製作の映画)

3.9

ロシアのサイレントスラップスティックコメディーなのだけど、モンティーパイソンみたいな不真面目な匂いがプンプン漂っていてずーっとニヤニヤしながら観ていた。

国境の町(1933年製作の映画)

3.1

靴職人たちの姿を通して社会主義革命とか反戦とか大きな物語を語っているのだけど、話があまり弾まずしばしば眠くなる。

処刑の丘(1976年製作の映画)

3.2

「炎628」とか「動くな、死ね、甦れ」のような衝撃を期待していたが、そこまでの作品ではなかった。物語が単調だし処刑される他の3人の描き方が浅くて、クライマックスはそれなりの緊張感はあるけど、なんか引っ>>続きを読む

刺青一代(1965年製作の映画)

4.0

鈴木清順の歪で過剰な任侠映画。ヤクザ者の兄がマザコンで芸術家を目指すおとうとのために全てを捨てて一緒に逃亡生活を送るのだが、なんかこの2人の兄弟愛が過剰で、弟の死の間際酒を口移しで飲ませたりする。その>>続きを読む

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

3.4

原作が面白くプロットがしっかりしているし、映像も重厚、演出もそつない、が、傑作かと問われると、そうとは言えないモヤモヤ感が残る。結局クリスティーの良くできたミステリー小説をそれなりに上手く映像化しまし>>続きを読む

復讐の記憶(2022年製作の映画)

3.2

元ネタの「手紙は憶えている」に比べると圧倒的に見劣りしてしまうが、復讐に突っ走る老人とそれに巻き込まれる若者の繋がりにドラマを持っていくところは韓国映画っぽいしそれはそれで悪くない。でも主人公の自己認>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

3.4

朝鮮人虐殺、同和問題、ハンセン氏病など、日本映画が十分に描いて来なかった題材に今この時代に取り組んだ意義は大きいと思う。が、映画としては必ずしもいい出来とは言えず、題材の重さと八つ墓村的な虐殺シーンの>>続きを読む

怒りのキューバ(1964年製作の映画)

4.7

凄い映画を観た高揚感を味わえる作品。プロパガンダ映画という枠を超えて、映画が光と影と音と運動で成り立っているということ、その崇高なまでの美しさ、残酷さに息を呑み圧倒され、打ちのめされてシネマヴェーラの>>続きを読む

帽子箱を持った少女(1927年製作の映画)

3.3

登場人物の行動がエキセントリックすぎてよくわからない感もあるのだけど、そこが面白くもある。躍動感が魅力的。

私はモスクワを歩く(1964年製作の映画)

3.3

純粋さと不純が混ざり合った無目的で刹那的、享楽的な若者たちを街頭ロケを多用して瑞々しく描いた作品。つまりはヌーベルバーグ的なソビエト映画。オープニングのモスクワの街やレコード店や遊園地はゴダールやトリ>>続きを読む

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

4.0

傑作「クーリンチェ少年殺人事件」に溢れていた透明感や痛々しさや生真面目さと違ってこの作品は徹底的に喜劇的で、複数の男女が罵り合いながら右往左往する。長回しのワンシーンワンショットは溝口からアンゲロプロ>>続きを読む

輪舞(1950年製作の映画)

3.4

「快楽」の仮面を被った老人のダンスのあの伝説的なトラヴェリンクのような衝撃はなかったけれど、やっぱりオフィルスの移動撮影には惚れ惚れする。