KengoTerazonoさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

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クロスカッティングで主人公とは関係のない人のアクションを映しつつ、主人公の何らかのアクションによっておもいがけず異なる場と場が結びつく。歯車ががっちり噛み合うような歯切れ良い動きのリズムが素晴らしい。>>続きを読む

破局(1961年製作の映画)

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音の仰々しさで笑かされる。ひとつひとつのアクションの結末を誘導させつつ、適宜その誘導とは違う方向に帰結する。そういう意味で全てのアクションがとてもスリリング。
何を見せて何を隠すか、今まで隠していたド
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なまいきシャルロット(1985年製作の映画)

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なんだか妹を思い出した。気の置けない年下に対する接し方とか、人への当たり方とか。この年頃の子は難しい。大人の世界がなんとなく見えてきたり、自分の限界が見えてきたり、そんな現実に目を逸らしたい。自分のこ>>続きを読む

検察官/勾留(1981年製作の映画)

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めちゃくちゃ面白かった。カットバックはもちろん、キャメラワークやズームインによって、会話に絡めとられていく感じがとても心地よい。

挿入される回想の間が絶妙。灯台の灯りの残像が取調室にも残る感じがいい
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リオ・ブラボー(1959年製作の映画)

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ホモソーシャルの醍醐味を堪能した。なぜただ一緒に歌っているだけなのにこんなに泣けるのか、、、

ジョンウェインを中心にした擬似的な親子関係とも言える距離の近さ、その距離を奪われそうになったときの嫉妬。
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

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この映画を、どう評価すればいいのか、私はいまだに答えを出せない。東日本大震災をTVの前でみた人間として、宮崎出身の人間として、今東京に住んでいる人間として、日本という枠組みの中に位置している人間として>>続きを読む

浪人街 第一話 美しき獲物(1928年製作の映画)

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弁士の声が入ってるやつ観た。聞き心地のいいリズムとテンポ、最後の悲哀。内容はよくわからなかったけど、そのスケールの大きさが楽しかった。

鴛鴦歌合戦(1939年製作の映画)

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素晴らしい映画を観たな。

まずなにより楽曲がカッコ良すぎる。殿様のサウンドやばいでしょ。彼の身体性も好き。傘屋の男の歌を聴いている時とか。

ずっとふざけてると思ったら、いきなり暗くなるところが印象
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ディス・イズ・オーソン・ウェルズ(2015年製作の映画)

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マジックが好きなんだね。

でてくる人たちの名前がビッグネームすぎるぜ、、、

いいなー、娘。

戸田家の兄妹(1941年製作の映画)

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なかなかシビアな話だった。

いきなり家がなくなって、親戚の家を彷徨い歩くだなんて、、、。『晩春』は親子の距離の近さが異常だが、これに関しては兄妹の距離がやはり近かった。『晩春』ほどではないが。親戚と
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一人息子(1936年製作の映画)

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『晩春』に次いで大好きな作品。

子を想う母と、母を想う子。思い通りの人生を歩めず、できれば今の生活を見せたくない。来たからにはできるだけいい思いをしてほしい。息子と母親、それぞれの生活の実情と理想が
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東京の宿(1935年製作の映画)

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同じキャストが似た役回りをする。

盗む決心をするまでがとても秀逸だった。花火と彼の顔とが交互に繰り返されて、犯行の場面は映さない。でも、やってしまったことは大きなことで、彼は自分の人生と引き換えに愛
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浮草物語(1934年製作の映画)

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各々への想いは高まるも、伝わらないで、ヘナヘナと萎れてしまう諦念が、なんとなく印象的だった。

東京の女(1933年製作の映画)

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弟のためを思って不貞を働いたのに、受け入れてもらえない姉の悲しみがどうしてこんなにひしひしと伝わってくるのか。小津の作品がこんなにもエモーショナルなのは何故だろうと毎度観るたびに思う。

田中絹代、綺
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囚われの女(2000年製作の映画)

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冒頭からスクリーン内のスクリーンを通しての、視線の往復の応酬が素晴らしかった。男が見ているショットの後に見ているショットを映すシンプルな反復が、男の執着を増幅させて怖い反面心地良くも感じる。

その反
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オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)

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『アンナとの出会い』や『私、あなた、彼、彼女』でみたスタイルが好きだっただけに、ちょっと違う!ってなった。

光と闇の交差はずっとあるように思える。『アンナとの出会い』でも、postに行った時には暗か
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私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)

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アケルマンは全裸にはなっても下着にはならない。そこがなんとなく面白い。なんで全裸は躊躇しないのに、下着姿は躊躇するのだろうか。まるで下着の方がいやらしいとでも言ってるかのように感じた。

男がアケルマ
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ヒズ・ガール・フライデー(1940年製作の映画)

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普通にめっちゃ笑った。
バストショットか、それよりもやや上くらいの、割と近い構図でマシンガントークしてるかとおもったら、いきなりロングショットで沈黙、突き放す。
メリハリのよさに、時々死刑の重みを感じ
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アンナの出会い(1978年製作の映画)

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モンタージュのテンポ感がとても心地よいし、横移動のスピードも、観ていて気持ちいいグルーヴを形成していた。

最初のホテルで服を脱ぐ時にできる影と光の当たり方とか、最後の冷蔵庫を開けて飲み物を飲む時の影
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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

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映画は救いだ。ここに居ていいよと、手招きしてくれる場所で、自分のわかりにくさをそのまま受け入れてくれるような場所。だから色んなものを犠牲にして、あの暗がりに沈むのだ。

それはそうと、デジタル映画のメ
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晩春(1949年製作の映画)

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異なる世代の分かり合えなさ、もっと言うならば個人と個人のコミュニケーションの限界を露呈しながら、そこに対して価値判断を下していない。その視点はとても優しく温かなものであると同時に、分かり合えてない状況>>続きを読む

オズの魔法使(1939年製作の映画)

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主題はもろアメリカの典型的伝統的価値観が全面にでていて、さすがテキサスが舞台なだけあるなって感じ。

そんなことはどうでもよくて、異界の描き方が、トチ狂っている。最高だね。異界へ着いた時、それは世界に
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

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今の日本には、これくらい強く主張するストーリーが必要なのだと思う。

映画としてどうこうというよりも、それくらい状況は切迫しているのだという危機感が、映画を貫いていた。

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

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よくわからない不思議な映画だった。
構図と色合いが冷たくて、妙に緊張感を掻き立てられた。

我が家は楽し(1951年製作の映画)

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サザエさん的な世界観。ここにきてまさかの笠智衆ハーレム到来。若い二人に腕をつかまれ家に連れていかれる笠智衆はめっちゃ面白かった。

笠智衆が優しいお父さんであることによって、家父長制が成り立っている。
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風の中の牝鷄(1948年製作の映画)

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その眼差しが秀逸すぎる。戦争を描いていないのに、先の戦争がいかに人々の日常を狂わせたのかがわかる。戦後の日本が残されたものにとっていかに生きにくいものだったかが、メロドラマ的な形式によって痛いほど伝わ>>続きを読む

突貫小僧(1929年製作の映画)

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小津映画に出てくる子どもってすごく不思議。魅力的にも見えるが、物語を進めるための駒のようにも見える。
この映画に出てくる子どもはやんちゃで魅力的だったよ。

和製喧嘩友達(1929年製作の映画)

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素晴らしい作品。
今の小津のイメージとは違うふうに見えるが、小津のハリウッド映画好きはよくわかる。
短編の状態しか残っていないのは確かに勿体無いが、そのぶん、この物語のエッセンスが凝縮されている。この
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四畳半タイムマシンブルース(2022年製作の映画)

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明石さんが、もっと好きになった。こんなに色んな表情を見せるのね。

四畳半のキャラクターたちの造形は不思議だ。それは『四畳半神話体系』の各エピソードが断続的であること。そして、四畳半神話体系とは全く異
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映画 けいおん!(2011年製作の映画)

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一般的に映画は日常→非日常→日常というプロットを辿って構成されることが多い。この映画もそのように構成されてはいる。されてはいるが、ウェイトの大きさは断然日常性にある。それがけいおん的な物語だからだ。>>続きを読む

劇場版 SHIROBAKO(2020年製作の映画)

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夢が叶ったその先の話。頑張り続けるためには、どうすればいいのか。飯を食うためだけにやっているわけではないし、それだけのためにはしたくない。かと言って、「やりたい」を全面に展開できるほど、何も知らないわ>>続きを読む

街の灯(1931年製作の映画)

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この作品は、カットバックが成立しにくい。そもそもカットバックは視線の往来があって初めて成立する。だが、ヴァージニア・チェリル演じる少女は盲目である。少女 とチャップリンの視線が往来するのは、少女が盲目>>続きを読む

雨月物語(1953年製作の映画)

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まず、面白い。

この映画の主人公は気付かぬうちに異界へと迷い込むが、それは私たちも同様で、その切れ目がわからない。夢と現実、そして異界が入り混じるが、その感覚は肌とピッタリひっついている。リアルなの
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2/デュオ(1997年製作の映画)

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即興はそれを取り入れる目的とは裏腹に、ある種のパターンを作ってしまう。最初は痛かった。ぼくも夢追い人なので、西島秀俊の気持ちもわかってしまう。だけれど同時に柳愛里の気持ちもわかる。だからすごくつらい。>>続きを読む

ブエノスアイレス 4Kレストア版(1997年製作の映画)

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王家衛作品の中で1番すばらしいと思う。
大好きな映画になった。

王家衛的な過剰さが極力抑えられていて、二人の人間を純に眺めている。

LGBTQ、クィア、それらの概念の重要さは言うまでもない。言葉を
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