約20年ぶりの再鑑賞。
要するにスラップスティックなラブコメで、「結婚できない」女が煩悶する物語を想像するとアテが外れる。かと言って「自分探し」の物語として成立しているかというと、そうでもなく、むし>>続きを読む
少し「子供」を見くびりすぎなような。子供の世界にも「社会性」があるはず。本能的な残虐性と社会性が衝突したとき何が起こるのか。「その先」が描かれていないのでこの映画はどこか物足りない
'70年代の日本はまだまだ「戦後」だった。太平洋戦争がすっかり「歴史」となってしまった今、そのことを思わされると、'70年代生まれの自分はハッとさせられる。
オープニングに高揚する!空母スタッフたちの手をひらひらさせるジェスチャーがなんだかかっこいいのだ。
マッチョなナイスガイたちの葛藤はユルいし、作戦はとってもわかりやすい(ならず者国家ってどこのことだ>>続きを読む
こじれにこじれた彼らの関係。でも、けっして崩壊することなく絆は続く。だって家族だから。来週の金曜日にはまた集まって、同じような諍いを繰り返すのだろう。
オープニングが印象深い。全裸でベッドのパイプをこつこつ叩くボニー。その気怠い仕草に閉塞感が表現される。突如彼女のもとに現れたクライド。彼と一緒に飛び立つことで道が開ける期待を一瞬で運命的に感じ取った彼>>続きを読む
いつまでもウダウダと何やってんだよ、と言いたくなりそうな何てことない話だけど、不思議と後味の良い余韻が。
結局あのウダウダ感が大人になりかけの若者の周りを漂う空気なんだよな、と。関心の範囲の狭さだっ>>続きを読む
騎兵隊三部作の中では、最も質素で品がある。夜のシーンが案外多いが、モノクロフィルムに影と灯りが映える。数多く挟まれる合唱も印象深い。妻、息子との葛藤と和解残る物語はやや紋切り型だが、これも悪くない。>>続きを読む
後の『007』シリーズに多大な影響を与えたと言われているが、ヒッチコック作品の中でも最もエンタメ性が高い。いつも通りサスペンスの面でも一級品なのだが、そこに遊び心が満載なのが楽しい。
巻き込まれサス>>続きを読む
何という屈託の無さ!今の日本が失ってしまった何かを、力業で教えてくれるようなパワフルな映画。
出生の秘密を告げて祖母は逝き・・・と思ったら、カットが変わるや否や「青空さーん、こんにちはー」。うーん、>>続きを読む
湖面に反射する黄昏時の柔らかな陽光。豊かな木々の緑。たたずむ水鳥たち。ピアノバージョンのテーマ曲をバックにしたオープニングシーンが心地よい。
ヘンリー・フォンダの演技は深い。偏屈ながらも、人生の最期>>続きを読む
寒々しいのに暖かい。物悲しいのに可笑しい。どこまでも馬鹿な男たちを見守る女は、無愛想でも愛しい。
マリちゃん(高峰秀子)のキャラがあまりに面白いので、そこにばかり目を奪われてしまうが、主要登場人物男女4人が、人間性の相違からすれ違っていく様の描き方は見事。特に、人畜無害で優柔不断なヘタレ男上原謙の>>続きを読む
オリジナルへのオマージュと再解釈のバランスはうまく取られている。良い意味での理屈っぽさだとか、不条理感だとか。
巨大隊員のモチーフの活かし方、逆に長澤まさみがキングコングのフェイ・レイ状態になるのも>>続きを読む
山の稜線に出現する藤牧の軍勢。こんな細かなショットも手を抜かず作り込む黒澤の完全主義者ぶりには恐れ入る。
上映時間2時間40分というのは、まさに「大作」に相応しい尺なわけだが、正直もう少し縮められな>>続きを読む
ケイリー・グラントのニヤケ顔が一瞬真顔になるだけで真意が読めなくなる。その効果を最大限に活かしたテクニカルな作品。
いつものヒッチコックのタメのある演出は抑えめで、ジョーン・フォンテインがジワジワと>>続きを読む
日本にも、こんなにソウルフルなミュージカル映画(?)があったのか!と思ってしまった。
トンチキのグルーヴ感。そして、踊り狂う貧民たちのギラギラした生命力溢れる表情!
小津作品のレギュラー女優には清楚な美人タイプが多いが、本作では京マチ子、若尾文子、野添ひとみら大映女優陣の艶が、少々趣きの異なる彩りを添えている。
普段の小津映画ではコメディエンヌを演じることが多い>>続きを読む
20年ぶりの再鑑賞。
当時はそんな言葉は存在しなかったが、まさにヤングケアラーの苦闘を題材にした作品。苦しい現実を赤裸々に描きながら、どこか温かみのある救いのある物語に仕立てるところがハルストレム流>>続きを読む
小津もこんな映画撮ってたんだ!
役者の顔が良い。岡田時彦の現代的な目を引くルックス、八雲恵美子はハッとするほどの美人だし、刑事役山本冬郷の味のある顔も。
わずか100分足らずの尺で、これだけの数の登場人物に想いを廻らすことができる構成の見事さ。かなりテンポよく場面展開していくが、それがまた心地よく、何だか全てのシーンが絵になっている。
全体に流れる哀>>続きを読む
知性には欠けていても可愛さと豊かな感受性で輝くゴールディ・ホーン。自分では思い切ってハメを外しているつもりでも生真面目さが滲み出るオールドミス、イングリッド・バーグマン。キャスティングとキャラ造型が抜>>続きを読む
ロマンを廃して、リアリズムに肩入れしたマフィア映画。とてもわかりやすい。
ラクしていい暮らししたい、周りから恐れられる存在になりたい、いい女にモテたい、そんな動機からマフィアの世界に足を踏み入れる。>>続きを読む
「へ」の字に結んだサリー・フィールドの口元に、開き直って覚悟を決めた女の強さたくましさと拭い切れない戸惑いが凝縮されている。
厨房の黒、レストランの赤、トイレの白に目はチカチカ。ボーイソプラノの響きに頭はキンキン。そんな悪夢のような異常空間で繰り出されるボスの乱暴狼藉やりたい放題が圧倒的。徹底して下品なのがまた良し。
なんとも密度の濃い台詞の洪水。あまりの見応えにドッと疲れが出る。熱出そう。人の奥底に潜む”悪意”が剥き出しになっていく様に空恐ろしさを感じるのは、それが本質を衝いているからこそだろう。
160分のワールドプレミア上映版を鑑賞。
狭苦しい洞窟セットや岩場での状況説明的なセリフばかりが続き、かったるくて仕方なかったが、後半は1943年という製作年を考えれば驚異的なスペクタクルに一転する>>続きを読む
オープニングは、流れる雲の早回し。かったるいダイアログの連続で、最初はこれをずっと観続けるのつらいなあと思っていたのだが、いつの間にかどんどん惹き込まれていく。ジェシー・ジェームズひとりがその場にいる>>続きを読む
時は流れ、世界は激動しても、ただもう邸に括りつけられたかのような彼の人生。羽ばたくことをしない姿をじれったく感じないのは、可愛らしさすら漂うアンソニー・ホプキンスの上品な演技あってこそ。
監督もプロデューサーも俳優も、みんな人間なんだ。完成されたフィルムだけでは「映画作り」のすべてを知ることはできない。そんなことをとっても楽しくわかりやすく教えてくれる。
女であり母であり、そして、殺し屋である。相容れない二つの顔。最終章における緊張と弛緩の微妙な匙加減は、彼女が抱えた内的矛盾の表現として秀逸。やられた。
やっとの思いでビルにたどりついたと思ったら・・>>続きを読む
5作目ともなると、さすがに出涸らし感が否めず。
特に前半部は、宍戸錠と松方弘樹の雑なキャラ造形がクオリティを下げているように思う。
後半部は、プライド、野心と組織経営の狭間で苦悶する小林旭と北大路>>続きを読む
とにかく印象的なのは電気ノコギリのシーン。ゆらゆらと思わせぶりに動くカメラに焦らされるスリル。「演出力」とは如何なるものであるかをまざまざと教えてくれる。
このシリーズ、戦後の極道社会の変遷を局面ごとに辿っていて興味深い。前作『代理戦争』で政治化して繁栄を謳歌したヤクザの世界は、市民社会の成熟とともに"反社"として退けられていく。
それにしても、この作>>続きを読む
切ない。モノクロフィルムに焼き付けられたパリの荘厳な街並、ジュークボックスの光と陰、役者の表情・仕草を追うカメラの動き、余韻を残す突然のクロージング…映画というメディアの総力を費やし表現される切なさ。
イメージ通りの「幕末」の空気。そわそわして腰が落ち着かない世情を生き抜く市井の人々の生き生きとした様子!
従来の権威や社会秩序が音を立てて崩れ始めた世の中。知恵と甲斐性さえあれば生きていける、本当の>>続きを読む